特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~ 第11回

羽生結弦の金メダルに、号泣しつつ願ったこと

高山真
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2月の頭あたりから私は、江國香織さんの小説のタイトル『号泣する準備はできていた』にからめて、「号泣する準備はできています」と何度か言ってきました。2月16日のショートプログラムで、まず1度目の号泣を経験しました。

4回転サルコーのエントランスのなめらかなイーグル。そのイーグルに合わせた、美しいピアノの低音。ジャンプをパーフェクトに決めてみせるや、着氷のトレースの延長線上に厳密に(しかし非常に自然に)フリーレッグを置いていき、イーグルへ。そしてそのイーグルは、エッジチェンジをしながらスピードを上げていくのです……。この時点で、私の涙腺は決壊していました。

トリプルアクセル前のステップの大きさ、なめらかさ。そして、「トリプルアクセルを着氷した」ということが信じられなくなるような、着氷後のトランジション。着氷した足で、スピード豊かで複雑なエッジワークを永遠に刻めるのでは……と思ってしまうほどでした。

大きなターンから入る、4回転トウ+3回転トウのコンビネーション。3回転トウの両手タノのクオリティは、オータムクラシックのときよりも私にとっては印象的でした。

ステップシークエンスの非常にクリアな足さばき。そのクリアさと、ふれたら焼け焦げてしまいそうなパッションが同居しています。非常にあいまいな表現かもしれませんが、

「クリスタルが沸騰している」

というイメージすら持ちました。

 

「羽生結弦が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることを、露ほども疑っていない」

と私は何度か書きました。しかし、羽生はこちらの予想を何十倍、何百倍も激しく、美しく超えてくれたのです。私にとっては「泣くな」というほうが無理です。織田信成氏が、この演技を見ながら客席で大号泣されていた気持ち、心からわかります。

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特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~

長年フィギュアを見続けてきた生粋のスケートファンである高山真が、 超絶マニアックな視点で語る『羽生結弦は助走をしない』(2018年1月17日発売)。まだまだ羽生のスケーティングを、そして日本フィギュアを語り尽くします!

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プロフィール

高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。
 
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羽生結弦の金メダルに、号泣しつつ願ったこと

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