特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~ 第13回

羽生結弦が歴史を刻んだ「平昌のショートプログラム」を振り返ってみた

高山真
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 ■アームのポジションにバリエーションをつけたツイズル(途中で、軸足に巻き込んだほうの足を一度ほどいていますので、私としては2つのツイズルの連続として解釈したいです)。

 これは完全に個人的なツボなのですが、最初のアームの形が、1シーズン前のショートプログラムの『Let’s Go Crazy』のプリンスのシンボルマークを思わせます。「プリンス マーク」で検索をかけていただくと、この思いを共有してくださる方がいるでしょうか。

 ■今度は左足で、異なったターンを踏み続けるのですが、羽生本来の回転軸とは逆の、時計回りのツイズルから始まっている。

 

●ラストの要素、コンビネーションスピン。キャメルポジションにおける、肩から指先にかけての、非常に柔らかいラインと、ピアノの音と同調させた強いポーズのコントラスト。

「回転の力を得るために、腕に力を入れて回転軸の中心のほうへ絞る」必要がまったくないことが見て取れる。純粋に、音楽性のためのアームの動きき……。

 

 オリンピックの歴史に残る、すさまじいばかりのショートプログラムでした。

 

 私は2017年12月の段階で、

「羽生結弦が平昌で素晴らしい演技を披露することを、露ほども疑っていない。何年にもわたって、常にこちらの予想を超えるものを見せ続けてきた羽生のことを、絶対的に信頼しているから」

 と書きました。羽生結弦は、その予想を、あの平昌の舞台で、何十倍、何百倍のスケールで超えてきてくれたのです。フィギュアスケートファンとして、これほどうれしいことがあるでしょうか。

 

 翌日のフリー。直前の6分間練習での羽生の様子から、「実はケガは治っていない」ということを感じた人は多かったと思います。それでも、あそこまでのことを成し遂げた羽生結弦。そのフリーのツボは、次回に書かせていただけたらと思います。

 

 私事で恐縮ですが、現在(4月25日時点)、ガンの手術のために入院しています。

 2月の下旬にも入院・手術をしているのですが、自分としてはこれを喜ばしい傾向としてとらえています。

「うまくいけば、体調がかなり上向きになる。そういう見通しが立てられるからこそ、手術ができる」

 そんな前向き感がある、と言いますか…。

 

 手術が終わり、体調が上向いてきたら、フリーのことを書かせていただきたいと思っています。

 個人的な意見ではありますが、「好きなことにじっくり向き合う時間」は、病気に対する何よりのクスリ。そしてフィギュアスケートは、私にとって大きなクスリのひとつであるのは間違いありません。

 

 ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

 

 
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特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~

長年フィギュアを見続けてきた生粋のスケートファンである高山真が、 超絶マニアックな視点で語る『羽生結弦は助走をしない』(2018年1月17日発売)。まだまだ羽生のスケーティングを、そして日本フィギュアを語り尽くします!

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プロフィール

高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。
 
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