特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~ 第16回

『羽生結弦は助走をしない』著者・高山真が振り返る、羽生結弦の平昌五輪フリーの「奇跡」

高山真
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Clip to Evernote

 個人的な話をして恐縮ですが、私は、2月の終わりと4月の終わりに肝臓がんの手術をしました。手術がかなりうまくいき、当初の予想よりもはるかに良好な状態に戻ってくれた今だから申しますが、2月の手術は、平昌の男子フリーの直後でした。実は五輪のチケットを入手していたのですが、見に行けるかどうかは体調次第という状態の中、

「これを逃したら、手術の結果にかかわらず一生後悔するだろう」

 と決断をして、男子シングルのショートプログラムとフリーだけ、現地で観戦したのです。医学的なことは担当医を全面的に信用している私ですが、精神的な面で言えば、あの奇跡の瞬間に立ち会えたことは、私にとってこれ以上ない薬となりました。

 そして、集英社さんのツイッターを通じて、お見舞いの言葉をお寄せくださった読者の皆様方のお心も、平昌の奇跡と同じくらい大切な薬であったと感謝するばかりです。

「皆様からのお気持ちに対する返礼」とするのは僭越にすぎる、と承知していますが、まだまだ、フィギュアスケートのことを書き続ける見通しが立ったこと、心からホッとしています。

 世の中に美しいものはたくさんあります。私にとってはそのひとつが「皆様からのお気持ち」です。そして、皆様と私に共通する美しいものの、もっとも大きなものが「フィギュアスケート」であると確信しています。その美しいものを、私なりの見方や言葉で、皆様と分かち合える機会がもっともっとありますよう。皆様ひとりひとりがお持ちの素晴らしい感受性に、ひとしずくの刺激を与えられるものを書きたい……。そんな決意とともに、私なりに体を大切にしていきたいと思っております。

 これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

本連載の一部あるいは全部を無断転載することは、法律で認められた場合を除き、著作権の侵害となります

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
 第15回
第17回 
特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~

長年フィギュアを見続けてきた生粋のスケートファンである高山真が、 超絶マニアックな視点で語る『羽生結弦は助走をしない』(2018年1月17日発売)。まだまだ羽生のスケーティングを、そして日本フィギュアを語り尽くします!

関連書籍

羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界

プロフィール

高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。
 
集英社新書公式Twitter 集英社新書Youtube公式チャンネル

プラスをSNSでも

Twitter, Youtube

『羽生結弦は助走をしない』著者・高山真が振り返る、羽生結弦の平昌五輪フリーの「奇跡」

;