特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~ 第17回

「息絶える白鳥」ではなく「生きていく白鳥」として……羽生結弦の24時間テレビ『ノッテ・ステラータ』から受け取ったもの

高山真
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 今年の夏はちょっと異常ともいえる暑さが続きました。2月と4月に肝臓ガンの手術をして以来、静養メインで過ごしている私ですが、外出を極力控えることで消耗を抑えていました。学校や仕事などで毎日家を出なくてはいけない方々のご苦労はいかばかりかと拝察いたします。くれぐれもご自愛ください。

 8月25日、日本テレビの24時間テレビ「愛は地球を救う」で、羽生結弦が復興への思いを込め、福島県・楢葉町の被災者の方々を仙台のリンクに招待し、『ノッテ・ステラータ』を舞った姿がオンエアされました。リアルタイムでご覧になった方も多いと思います。

 2011年に東日本大震災が発生して、そろそろ7年半になります。拙著『羽生結弦は助走をしない』に書いていることではありますが、羽生が東日本大震災から現在に至るまで、寄付も含めて本当に多くの献身的な活動をしていることは、私以上にみなさんの方がよくご存じでしょう。

 羽生結弦は地震発生時、宮城県の「アイスリンク仙台」にいました。今回、楢葉町の方々にスケートを披露した場所。そして、しばらく避難生活を強いられた被災者のひとりです。その当事者が、こうした活動を続けていくことは、

「震災の経験と向き合い続ける。その記憶から逃げない」

 と決意していることを意味します。その一点のみでも全面的な尊敬に値すると私は思っています。と言うかむしろ、

「そこまで背負わなくてもいい」

「被災した人は、自分のことだけ考えるくらいでいいんですよ」

という気持ちのほうが強いくらいでして……。どなたがおっしゃったのか失念してしまいましたが、

「被災された方が頑張る必要はない。頑張るのは、あのとき東北以外の場所にいた人間の務め」

 という言葉に私は強く賛同しているのです。

 その大前提はありますが、やはり羽生結弦が見せてくれた『ノッテ・ステラータ』は素晴らしかった。今回は、その感激を記していきたいと思います。過去に『ノッテ・ステラータ』について語った文章と重複する部分があるのはご了承ください。

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特設エッセイ『羽生結弦は助走をしない』~羽生結弦を語り足りない~

長年フィギュアを見続けてきた生粋のスケートファンである高山真が、 超絶マニアックな視点で語る『羽生結弦は助走をしない』(2018年1月17日発売)。まだまだ羽生のスケーティングを、そして日本フィギュアを語り尽くします!

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プロフィール

高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。
 
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「息絶える白鳥」ではなく「生きていく白鳥」として……羽生結弦の24時間テレビ『ノッテ・ステラータ』から受け取ったもの

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