対談

1億人が集まるインドの奇祭「クンブメーラ」奮戦記

名越啓介×辛酸なめ子対談

名越啓介×辛酸なめ子
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辛酸:入浴日以外でも結構賑わっていますよね。

名越:はい。なので、まだ居残っているサドゥを探しては撮ってを繰り返しました。2019年はそのリベンジという感じでしたね。

 

入浴日はトラックやトラクターを改造した派手な山車が連なる。

現地では期間中に1億人の巡礼者が訪れたと報道された。

 辛酸:不思議なのは、裸のサドゥたちが、時計もスケジュール帳も持っていないのに、どうしてちゃんと同じ日に同じ場所に向かっていけるんだろう?という。

名越:今年行ったときは、意外にスマホを持っている人が多いなって感じました。

辛酸:本当ですか、裸のサドゥが!? じゃあ、何人かスマホでチェックしてそれを周りのサドゥに伝言しているのかもしれませんね。 (作品集をめくりながら)こうして見ると、サドゥは写真映えする人ばかりじゃないですか。

名越:そうですね。被写体としては。

辛酸:芸というか、鉄の棒に男性器を巻きつけて持ち上げている人もいましたね。その人は勝手に写真を撮ると、すぐに「マネー!」と言って怒ってきたり。名越さんはどんな風に撮影したんですか?

名越:まず、「ハイ、ミスター!」と声をかけるのが入口です。インド人は「ミスター」と呼ぶと喜んでくれることが多くて。撮影のOKが出たら、白バックを広げてひとり10分~15分くらいの撮影を繰り返していきました。

辛酸:その10分ぐらいの出会いで、何か得るものがあるかもしれないですよね。

名越:前回行ったときに、結構ひどい目にあって。お金をやたらと要求してくる人もいれば、フィルムを盗んでいこうとした人もいました。ただ、「この人は本物かな?」みたいな人も確実にいましたね。早朝の朝靄の中、クンブメーラエリアじゃなくて、ずっと離れた地元の人たちが沐浴で使うような場所で、たったひとりで川の中州にずっと座っているサドゥとか。

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プロフィール

名越啓介×辛酸なめ子

名越啓介:1977年、奈良県生まれ。大阪芸術大学卒業。19歳で単身渡米し、スクワッター(不法占拠者)と共同生活をしながら撮影活動を続け、その後、アジア各国をめぐり『EXCUSE ME』で写真家デビュー。主な作品に『SMOKEY MOUNTAIN』(赤々舎)、『CHICANO』(東京キララ社)、『Familia保見団地』(世界文化社、藤野眞功氏との共著)、『笑う避難所 石巻・明友館136人の記録』(集英社新書、頓所直人氏との共著)など。

 

辛酸なめ子:1974年、東京都生まれ。女子学院中・高を経て、武蔵野美術大学短期大学部に入学。1994年、渋谷パルコのフリーペーパー『GOMES』漫画グランプリでGOMES賞を受賞し、これをきっかけに雑誌などに連載を始める。主な著書に『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか』(PHP研究所)、『魂活道場』(学研プラス)、『おしゃ修行』(双葉社)、『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社)など。 

 

 
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