宇都宮直子 スケートを語る 第3回

このひとつきのこと(番外編)

宇都宮直子
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 机の横の資料棚に、数枚のDVD が重なっている。親しい友人が送ってくれた羽生結弦のものもある。「SEIMEI」の空を睨むような表情が、きりりと美しい。
 でも、私はまだそれらを観ていない。目眩が続いていて、観られないのである。テレビもニュース以外は見ていない。そして、外出を徹底的に自粛する日々だ。
 日本中が新型コロナウイルス感染症と戦っている。そんな時期に体調を崩してしまった。だから、今回は番外編として読んでいただけたらと思う。

 4 月に入ってから、身体のあちこちが痛み始めた。膝とか肘とか、首とかである。それから、胃や腹部の不快感が強く出る。
 熱も出た。解熱剤を服用しても、37 度から下がらなかった。私にはいくつかの基礎疾患がある。つまり、新型コロナに罹患すれば重症化のリスクを抱える。
 かかりつけ医に診てもらう前に、市のコールセンターに電話をした。医院のホームページに、「熱のある患者さまはコールセンターに電話してから来院ください」と指示があったからである。
 コールセンターへは問題なく繋がり、「かかりつけ医の診断を受けてください」と言われる。
 かかりつけ医では、胃腸薬を処方された。
「新型コロナではないと思います」とのことだった。たしかに、症状はそれで落ち着き、熱も下がった。だが、その後、咳が出るようになった。息苦しさも伴った。
 私は喘息も持っていて、季節の変わり目に症状が出ることが多い。ふたたび医院へ行き、今度は喘息の薬を受け取った。
「これで改善しないようなら、『帰国者・接触者相談センター』に電話をしてみてください」
 と医師は言った。

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宇都宮直子 スケートを語る

ノンフィクション作家、エッセイストの宇都宮直子が、フィギュアスケートにまつわる様々な問題を取材する。

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プロフィール

宇都宮直子

ノンフィクション作家、エッセイスト。医療、人物、教育、スポーツ、ペットと人間の関わりなど、幅広いジャンルで活動。フィギュアスケートの取材・執筆は20年以上におよび、スポーツ誌、文芸誌などでルポルタージュ、エッセイを発表している。著書に『人間らしい死を迎えるために』『ペットと日本人』『別れの何が悲しいのですかと、三國連太郎は言った』『羽生結弦が生まれるまで 日本男子フィギュアスケート挑戦の歴史』『スケートは人生だ!』ほか多数。2020年1月に『羽生結弦を生んだ男 都築章一郎の道程』を、また4月には『三國連太郎、彷徨う魂へ』が刊行されている。

 

 
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