宮治「落語は『見たい』と思わせられたら勝ち」一之輔「抜擢真打は選んだ方にも責任」

「そのやり方で、行けるところまでは行っちゃえば」

──宮治さんはここまで全力で突っ走ってきた印象があります。今、さらに加速している印象があるので、このペース配分でいったいどこまで持つのかな、とも思ってしまうのですが。
宮治　それしかできないんで。すごいおもしろいことが言えるとか、すごいおもしろい落語ができるんなら、あんなに一生懸命ギャーッとやらないですよ。ただ、そうしてると、がんばってるように見てくれるし、何かおもしろいことを言ってるように見えるのかな、お客さんは喜んでくれる。本当は兄さんみたいに淡々としゃべって爆笑をかっさらうみたいなのに憧れるんですけど、それは僕にはできないんで。
一之輔　まあ、俺もギャーってやるときはあるからね。何よりもお客さんが喜んでくれるのがいちばんなんだから、今はそれでいいんじゃない？　とりあえずは、そのやり方で、行けるところまでは行っちゃえば。無理にハンドルを切る必要なんてないんだよ。ギアは入れ替えたとしても。
宮治　ほら、やっぱり、本当は優しい。兄さんは。

一之輔　いや、自分で自分に言い聞かせているところもあるんだよ。ほぼ同い年なんだから。おれだって、これから先、どうなるかわからないんだから。
宮治　いやいや、いろいろと共通点だったり似ているところはあるんだけど、落語の実力だけは、まだまだ比較になりません。
一之輔　カミさんの器量もね。
宮治　やめろ！　やめろ！
一之輔　うちのカミさんは「豊島区のブルック・シールズ」って言ってるけど。
宮治　うちは「品川区の松旭斎小天華（奇術師）」と言われてます。
一之輔　ああ、口うるさいベティちゃん。
宮治　わー、やめてー！
一之輔　この前、亡くなったね。ご冥福をお祈りします。
宮治　うわ、ちゃんと締めた。何言い出すかと思ってヒヤヒヤしたわ。

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