宇都宮直子 スケートを語る 第2回

サンクトペテルブルグ、スポーツパレス「ユビレイヌィ」で

宇都宮直子
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 スポーツパレス「ユビレイヌィ」は、1967年に設立された総合運動施設だ。
 広報の男性によれば、フィギュアスケートを第一に考えて建設され、その後多くの種目が加わっていった。現在では、サッカー以外のほぼすべての競技に対応できる。
 昨年、私はそこを訪ねた。ロシアフィギュアスケート界の重鎮、アレクセイ・ミーシンコーチに会うためである。
 彼の教え子には、オリンピックの金メダリストが並んでいる。とくに、アレクセイ・ヤグディンとエフゲニー・プルシェンコは有名だ。ミーシンの偉大さを証明していると言えるだろう。
「ユビレイヌィ」での取材の様子は、小著『羽生結弦を生んだ男 都築章一郎の道程』に詳しく綴った。だから、ここでは、それとは違う側面を紹介しようと思う。
 ミーシンの言葉には大いに学んだ。彼は実に明哲で、愉快な人だった。とてもフランクだし、ユーモアがある。
「『あれっ?』って感じで、メダルが落っこちてくれれば最高」
 と彼は話したが、むろんメダルは「あれっ?」とは落ちてこない。
 それは熾烈な競争の果てにある夢だ。手に入れるには、才能と熱意がいる。努力を惜しんではならない。息を抜けば、置いて行かれる。あっと言う間に、だ。

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宇都宮直子 スケートを語る

ノンフィクション作家、エッセイストの宇都宮直子が、フィギュアスケートにまつわる様々な問題を取材する。

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プロフィール

宇都宮直子

ノンフィクション作家、エッセイスト。医療、人物、教育、スポーツ、ペットと人間の関わりなど、幅広いジャンルで活動。フィギュアスケートの取材・執筆は20年以上におよび、スポーツ誌、文芸誌などでルポルタージュ、エッセイを発表している。著書に『人間らしい死を迎えるために』『ペットと日本人』『別れの何が悲しいのですかと、三國連太郎は言った』『羽生結弦が生まれるまで 日本男子フィギュアスケート挑戦の歴史』『スケートは人生だ!』ほか多数。2020年1月に『羽生結弦を生んだ男 都築章一郎の道程』を、また4月には『三國連太郎、彷徨う魂へ』が刊行されている。

 

 
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