突然だが、私は『三國連太郎、彷徨う魂へ』(文藝春秋)を2020年4月に刊行した宇都宮直子である。
話題の書籍『女帝 小池百合子』(文藝春秋 )26ページの「ノンフィクションライター、宇都宮直子」も私である。
『女帝 小池百合子』は爆発的に売れている。それゆえ、友人知人、編集者から連絡を多く頂戴する。
曰く、
「名前が出ていましたね」
過去、私はヒューマンドキュメントをたくさん書いていた。小池百合子氏についても綴った。件の書籍には、その内容が取り上げられているのだ。
なぜこんな話をするのかというと、同業者に「宇都宮直子」さんがいらっしゃるからである。
宇都宮さん(面識はない)が原稿を発表されると、かなり高い確率で、友人知人、編集者から連絡がくる。
そのたびに、「それは私ではありません」と答えるのだが、そろそろ公にしておくべきだと思う。
と言うのも、私は体調を崩しやすい。仕事が難しい局面も幾度かあった。そういうときに、宇都宮さんと混同されるとけっこう困るのである。
「目眩で起き上がれないはずなのに、どこそこへ出向いている」と人に誤解されるのだ。これはよくない。問題だ。もちろん、間違われて困るのは、宇都宮さんも同じだろう。
私はこれからしばらく、フィギュアスケート中心に原稿を書いていきたいと考えている。医療や人物に書きたいテーマ、人があるが、それに取り組むのは北京オリンピック(2022 年)が終わってからだ。
新型コロナウイルスの影響で、今シーズンもどうなるのかわからない。それでも、私はフィギュアスケートについて語っていたいのである。
これから、ジャンプの王様の話をする。
基本的にはアクセルの話だが、羽生結弦の話でもある。今回は序章と思っていただきたい。以降、続けてしたためる。
ノンフィクション作家、エッセイストの宇都宮直子が、フィギュアスケートにまつわる様々な問題を取材する。