ガザの声を聴け! 第43回

2018年7月「なんのために苦労してきたのか」

清田明宏
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2018年7月には1週間シリアを訪問した。UNRWA「ウンルワ」の診療所を訪ね、難民キャンプも見てまわった。昨年と比べて大きな変化を感じた。それはパレスチナ難民をめぐる情勢だけでなく、シリア全体にである。

 

非常に単純化すると大きな変化は政府側の侵攻だ。首都ダマスカス周辺の反政府側の地域を次々と奪回、政府側の支配においた。シリア南部も同様だ。それによりシリアの中南部ほぼ全域が政府の支配下になった。シリア全土の7割が政府の支配下になったとの報告もある。

 

もちろんその奪回時に、激しい戦闘があり、多くの死傷者が出たと言われている。様々な悲惨な状況が報告された。今後は反政府側が多いシリア北西部のイドリブを中心に戦闘が悪化することが懸念されている。今年で7年になるシリア内戦がどのような形で続くのか、あるいは終結するのか、その先は読めない。

 

ただ、ダマスカスでは人々の生活に安定が戻りつつあるように見えた。以前は治安上の懸念で行けなかった旧市街の市場(スーク)に、我々国連職員は自由に行けるようになった。行ってみると市場が盛況を取り戻していた。多くの人が買い物にきていた。私が好きなシリアアイスの名店「バクダーシュ(Bakdash)」にも多くの人が集まっており、昔ながらの美味しいアイスクリームを堪能できた。

 

 

旧市街の中心部にある、1300年以上の歴史があるウマイヤードモスクにも久しぶりに行けた。モスクの中の壮厳さ、装飾の見事さ、本当に素晴らしいモスクだ。いつ見ても感動する。

 

 

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 第42回
ガザの声を聴け!

1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。

プロフィール

清田明宏
1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。
 
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2018年7月「なんのために苦労してきたのか」

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