著者インタビュー

新人漫画家への心得の書【後編】

『読者ハ読ムナ(笑)』 企画者・武者正昭氏インタビュー

武者正昭
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——メンタル面で作家の方に寄り添うために、特別に取り組んでいたことはありますか?

武者:僕の場合は大事だと思っていたので、カウンセリングの勉強もしていました。

よく相談されるんですよね。単にアイデア面の話だけじゃなくて、どういう風にやっていいかわからないとか、すごく不安だとかね。「今ちょっと袋小路に入ってしまっている。自分はどうすればそこから出られるか」とか。実は、メンタル面での悩みって多いんですよ。そういうのもある程度ちゃんと、理詰めで言えるようにならなきゃと思って、結構勉強しましたね。いわゆるカウンセラーの資格も取りました。なので、そんなにテキトウに言っているわけじゃないんです。一応は理論を踏まえた上でやっているんです。

心の問題というのは予想よりもはるかに大きいですね。良い気持ちじゃないと良いアイデアは出ない。お風呂でボーッとしているとアイデアが浮かぶ、なんて言うじゃないですか。「どうしよう、どうしよう……」って思い詰めてしまうと、もう浮かばないんですよ。

または、何かを守るために「聞きたくない」「考えたくない」とかって、視野が狭くなってしまいがちなんです。それを「まあ、まあ」って言って解きほぐしてあげる。「そういうことだってありますよ。そんな悩んでいてもしょうがないから、まずは笑って、一緒に考えましょう!」とか言って。「とりあえず飯でも食おう」とか、「こんなのも読んだら? 参考になるかもよ」なんて。そうすると相手も、「じゃあお願いします」ということになって。

……そんなもんじゃないですかねえ。とかく編集者っていうと、作品づくりの相談相手というイメージを持たれているかも知れませんが、クリエイターにとって心の面って、すごく大事なんです。だからこそ、編集者のスタンスはとても重要で。漫画家にはもともと才能は眠っているんだから、あとはその開かせ方だけ。ストレスなく、うまく開かせてあげる。それは結構大きいと思います。

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プロフィール

武者正昭

1957年東京都生まれ。早稲田大学卒。1981年(株)小学館に入社。「少年サンデー」「ヤングサンデー」「ビッグコミック」「ビッグコミックスピリッツ」など、これまで編集として数多くのマンガ誌に携わり、「flowers」「Cheese!」では編集長を務めた。編集としてのキャリアは30年を超える。これまで輩出したミリオンセラー作家は、『健太やります!』の満田拓也、『行け!!南国アイスホッケー部』の久米田康治、安西信行、菊田洋之、きらたかし、なかいま強、『うしおととら』の藤田和日郎、『海猿』の小森陽一・佐藤秀峰、『娚の一生』『姉の結婚』の西炯子、『しろくまカフェ』のヒガアロハなど。2018年5月1日に、NHN comicoが運営するマンガ・ノベルアプリ「comico」の編集長に就任。

 
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