対談

1億人が集まるインドの奇祭「クンブメーラ」奮戦記

名越啓介×辛酸なめ子対談

名越啓介×辛酸なめ子
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──辛酸さんは、実際に沐浴したんですか?

辛酸:前回は頭まで入れたんですが、今回は将棋倒しに近い感じで人の波に押されながら川に近づいたので、命の危険を感じてしまい。足までしか入れなかったです。

名越:人の群れに押しつぶされそうになりますから。入浴日の沐浴場は危ないです。人とすれ違う数が入浴日の一日だけで一年分を超えてるんじゃないかと思います。下手すると、一生分ぐらいなんじゃないかって。

──死人とか、怪我人が出てもおかしくない状況ですね。

辛酸:たぶん出ていると思います。前回行ったときは、新聞にサドゥ同士の抗争の記事が出ていました。

名越:サドゥの抗争(笑)。僕はあまり沐浴とかそういうものには興味がなかったので、足だけ浸かりつつ撮影みたいな感じでしたけど。

辛酸:そうなんですか、解脱とかに興味はありませんか? 私は浄化したいという思いがあるので沐浴を体験したいと思いました。全身で入れるなら入りたかったのですが、もともと水が苦手なのもあって。でもあの場に行けて、押しつぶされそうになりながら助かったということに、すごく聖者のパワーを感じました。

 

沐浴場は押し合い圧し合い。圧死者が出てもおかしくない混雑ぶり。

 ──クンブメーラの会場はどうやって移動したんですか?

辛酸:会場は普段、川の中州で更地なんですよね。クンブメーラのためにゼロから街を作るみたいな感じなんです。会場全体はニューヨークのマンハッタン島くらいの広さだと言われてます。

名越:スマホで現在地を確認しても、川の上に表示されてしまいますよね? 地図がないとどうにも動けず、警察署で地図を貰って動いていました。それでも、宿泊のキャンプを探すのに、6時間くらいはさ迷いましたけれども。

辛酸:日本だと、ちゃんとしたイベントに対しては、ちゃんとしたパンフレットがあるじゃないですか。私もやっぱりそういうのを情報として持っておきたいなと思って、道端の出店みたいなところで買ってみたら、何も説明にもなっていなくて。

 

辛酸氏が現地で購入したパンフレット。印刷が悪く、字がよく読めない。

辛酸:写真しか載ってないし、地図の字も全然読めないし……。

名越:ヤバいですね、これ(笑)。値段の30ルピー(1ルピー約1.5円)だけしっかり読めますね。

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関連書籍

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プロフィール

名越啓介×辛酸なめ子

名越啓介:1977年、奈良県生まれ。大阪芸術大学卒業。19歳で単身渡米し、スクワッター(不法占拠者)と共同生活をしながら撮影活動を続け、その後、アジア各国をめぐり『EXCUSE ME』で写真家デビュー。主な作品に『SMOKEY MOUNTAIN』(赤々舎)、『CHICANO』(東京キララ社)、『Familia保見団地』(世界文化社、藤野眞功氏との共著)、『笑う避難所 石巻・明友館136人の記録』(集英社新書、頓所直人氏との共著)など。

 

辛酸なめ子:1974年、東京都生まれ。女子学院中・高を経て、武蔵野美術大学短期大学部に入学。1994年、渋谷パルコのフリーペーパー『GOMES』漫画グランプリでGOMES賞を受賞し、これをきっかけに雑誌などに連載を始める。主な著書に『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか』(PHP研究所)、『魂活道場』(学研プラス)、『おしゃ修行』(双葉社)、『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社)など。 

 

 
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