対談

宮治が『笑点』に出るようになってわかった。一之輔「芸人が売れるって、こういうことなんだな」

春風亭一之輔×桂宮治

至福の時間を宮治に邪魔されたくない

──でも「キャラがかぶってる」という声は本当に多かったようですね。
宮治 高田(文夫)先生も「宮治はないね。たい平とかぶるから」と言っていたらしくて。でも、決まった瞬間、今度は「おれは本当は宮治だと思っていたんだ」と。
一之輔 言いそう(一之輔と高田文夫は、ともに日大芸術学部の落語研究会OB)。「本当は知っていたけど、あえて言わなかった」みたいな。
──宮治さんが出ている『笑点』は、もう観ましたか?
宮治 観なくていいよ。
一之輔 観てない。ごめんね。
宮治 全然いいです。全然いいです。
一之輔 実際、『笑点』の時間(日曜日、17:30~18:00)って、移動していることが多いんだよね。
宮治 新幹線の中にいるイメージですよね。日曜日の5時半ぐらいって。
一之輔 地方公演が終わって、そっから帰ってきている感じ。ビール飲んで、つまみ食って。そんな至福の時間を宮治に邪魔されたくない。
宮治 こっちも観われたくないわ!

歌丸師匠イジリはまずい

──一之輔さんを新メンバー候補に挙げている人もいましたが、タイプ的には違うのかなと思っていました。
宮治 僕はそんなことないけどな。兄さんが若手大喜利(『笑点』のスピンオフ企画)に出ているとき、僕も共演したことがあるんです。めちゃくちゃおもしろかったもん。
一之輔 3回ぐらい出たな。
宮治 明らかにいちばんウケてた。
一之輔 なのに降ろされちゃった。なぜなら、つまんなさそうにしてるから。(当時、『笑点』のレギュラーだった)歌丸師匠の「ふて腐れてるのかい、この人は」っていうひと言で降ろされたらしい。おれ、放送作家さんからそう聞いたよ。
宮治 あんとき、「どうして出なくなっちゃったんですか?」って聞いたら「歌丸師匠からNGが出た」って言うから、そんなことあるんだと思って。
──一之輔さんは、いつも気だるそうな表情をされていますもんね。要は、テレビ向きじゃないと判断されたわけですね。
一之輔 いや、歌丸向きじゃなかった。
宮治 歌丸師匠イジリはまずい。どうせ、この部分は使えないんだし。

一之輔 いや、僕は別に書いてくれてもいいですよ。大丈夫だよ、もういないんだから(桂歌丸は2018年、81歳で逝去)。
宮治 そういう問題じゃなくて。
一之輔 歌丸師匠がダメって言ったんです!
宮治 あああ……。
一之輔 歌丸師匠が!
宮治 はいはい、そうだったのかもわからないですね。怖いな、この人。

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プロフィール

春風亭一之輔×桂宮治
春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)

1978年、千葉県生まれ。落語家。日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。2012年、21人抜きの抜擢で真打昇進。2010年、NHK新人演芸大賞、文化庁芸術祭新人賞を受賞。2012年、2013年に二年連続して国立演芸場花形演芸大賞の大賞を受賞。寄席を中心に、テレビ、ラジオなどでも活躍。

桂宮治(かつら みやじ)

1976年10月7日、東京都品川区出身。2008年2月、桂伸治に入門。2012年3月、二ツ目昇進。同年10月、NHK新人演芸大賞受賞。2021年、5人抜きの抜擢で真打昇進。「成金」メンバーでは三代目柳亭小痴楽、六代目神田伯山に続く、単独での真打昇進披露となる。2022年より日本テレビ系『笑点』の新メンバーに就任。

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宮治が『笑点』に出るようになってわかった。一之輔「芸人が売れるって、こういうことなんだな」