──タトゥーは、日本ではまだ一般的ではありませんが、ボーダーにとってはどのような意味があるのでしょうか。
國母 山の上に1人で立ったときの心の支えにしています。タトゥーは全部、お守りですね。滑り出す前の決心で、迷わないように。バックカントリー(自然の雪山)で滑るのは命がけなので。
──だらしないから、だらしないとされる恰好をしてるのではなく、スタイルとして意図的にそうしてるということなんですよね。
國母 多分……。今の若い世代は、コンテスト系の選手は特にそうですけど、格好もぴしっとした子が増えてきてます。けっこういい車に乗ったり。
──平野選手もいい車に乗っていますか。
國母 歩夢は普通ですね。でも、歩夢には、いい車を買ってもいいんじゃないかとは言ってます。もう、それだけの選手になったんだし。そういうのに憧れて、スノボを始める人がいてもいい。スノボを知らない人にもスノボを広めていくのが歩夢の仕事。俺は逆にコアなスタイルを残すのが仕事だと思ってる。コアな世界で、コアなボーダーでいられればいい。
──國母さんの後継者というか、国内にそういうスタイルの若手もいるのでしょうか。
國母 今はいないですね。だんだんコンテストに出なきゃやっていけなくなってきている。俺みたいに若いときに世界に出て、バックカントリーで滑って、ムービーに出てっていうやつが出てくればいいなとは思うけど。
取材・構成/中村計 撮影/工藤了
協力/PRESSCAFE
【最終回】は11月1日に掲載予定です
プロフィール
1988年生まれ、北海道石狩市出身。4歳からスノーボードを始め、2003年、わずか14歳でUSオープンの表彰台に立つ。06年トリノ、10年バンクーバーと2度の五輪出場経験を持つ日本スノーボード界の第一人者。16年に最も権威のあるコンクール「RIDERS POLL 18」で「年間ベストビデオパート賞」を受賞。