──想像する収入からすると……すごく質素な生活をしてますね。札幌郊外のご自宅も拝見しましたが、広い土地の半分以上は庭と畑で、ログハウスはそんなに大きいわけでもない。車も軽自動車と普通の国産のワゴンでしたよね。時計もGショック。プロ野球選手みたいに、高級腕時計をして、高級車に乗って……という願望はないんですか。
國母 ぜんぜん興味ないですね。そういうの、恥ずかしいんですよ。大したことないのに、何やってんだよっていう。それに、きれいな服とか、きれいな車って、気を遣うじゃないですか。でかけるときはきれいな服を着るけど、飼ってる犬(2匹のバセットバウンド)と遊びたいので、普段はボロボロの服の方がいいんです。昔は古着をけっこうよく買っていましたが、ここ5年くらいは服も買ったことがないですね。スポンサーが提供してくれる服があれば十分なので。
──周りのボーダーたちは、どんな生活をしているんですか。
國母 金持ってるやつでも、山にでっかい土地を買って、人目を気にせず好きに生活してますね。街なんて疲れんじゃんっていう人ばっかりだから。そもそも俺がスノーボーダーに憧れたのは自由なところだから。だらしない服を着てても、酒を飲んだくれてても、スノーボードはすごいうまいみたいな。遊んでるみたいに見えた。いい服を着て、いい車に乗って、いいとこ住んでっていうのはまったく頭になかった。稼げるようになって変わったのは、漫画を大人買いするようになったことぐらい? あと、古い車は好きかな。
──古いというのは、クラシックカー?
國母 いや、クラシックカーというより、単に古い車です。日本だと古い車って持ちにくいですけど、アメリカだとすぐ手に入るから。最近はカナダでピックアップトラックを買って、後ろにスノーモービル載っけられるようにしました。車自体は100万くらいで、いろいろ直してもらったんで、プラス50万くらいかな。気に入ってます。
プロフィール
1988年生まれ、北海道石狩市出身。4歳からスノーボードを始め、2003年、わずか14歳でUSオープンの表彰台に立つ。06年トリノ、10年バンクーバーと2度の五輪出場経験を持つ日本スノーボード界の第一人者。16年に最も権威のあるコンクール「RIDERS POLL 18」で「年間ベストビデオパート賞」を受賞。