著者インタビュー

新人漫画家への心得の書【前編】

『読者ハ読ムナ(笑)』 企画者・武者正昭氏インタビュー

武者正昭
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——編集者の側の視点がとても具体的に書かれているのは新鮮でした。

武者:やっぱり、視点や立ち位置を変えれば物事がどう見えるのかっていうことは、どうしても新人マンガ家にはわかりづらいと思います。本書にも書いていますけど、新人時代はどうしても編集者が「壁」に見えてしまうんですよね。立場も気持ちもわからない。それで空回りしてしまう。

だからこそ、「視点を変えて向こうに立ってみたら、こう見えるんじゃないの?」という視点の提供があるのは役立つだろうと思います。

よくよく考えると、これは漫画的な発想です。たとえば男の子と女の子がいたら、男の子側から見た風景と、女の子側から見た時の風景。同じことをやっているんだけど、それぞれの見方や感じ方は違うっていうのは、実は漫画でも絶対に必要な要素です。そういうことが意識できなければ、漫画って描けないですからね。他者の視点っていうのは、創作には絶対的に必要なんじゃないですかね。

私はよく漫画家と、“ここにコーヒーカップがあるとして、コーヒーカップから我々を見たらどう見えるか?”なんて話をします。あるいは、上からフカンで見るとどう映るか。アオリ(下から見上げるアングル)ではどう見えるか。こんな風に色んな観点を持つことで色んなことができる、ということは創作一般で重要だと思いますね。

図らずも、そんな意識がおのずと反映されたのかも知れません。

——具体的にお話しして戴き、有り難うございます。後編ではより具体的に、「漫画編集」の極意について教えてください。

(写真撮影:内藤サトル)

後編に続く

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関連書籍

『読者ハ読ムナ(笑):いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』

プロフィール

武者正昭

1957年東京都生まれ。早稲田大学卒。1981年(株)小学館に入社。「少年サンデー」「ヤングサンデー」「ビッグコミック」「ビッグコミックスピリッツ」など、これまで編集として数多くのマンガ誌に携わり、「flowers」「Cheese!」では編集長を務めた。編集としてのキャリアは30年を超える。これまで輩出したミリオンセラー作家は、『健太やります!』の満田拓也、『行け!!南国アイスホッケー部』の久米田康治、安西信行、菊田洋之、きらたかし、なかいま強、『うしおととら』の藤田和日郎、『海猿』の小森陽一・佐藤秀峰、『娚の一生』『姉の結婚』の西炯子、『しろくまカフェ』のヒガアロハなど。2018年5月1日に、NHN comicoが運営するマンガ・ノベルアプリ「comico」の編集長に就任。

 
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新人漫画家への心得の書【前編】

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