──もうほとんど冬山登山ですね……。
國母 スノーシューをはいて登っていくんですけどピークまでは4時間、そこからピークの尾根づたいにさらに2時間歩くと滑り出すポイントに到着する。10日間滞在して、そこまで行けたのは2日だけでしたね。雪はけっこう降ってたんですけど、晴れると1日、2日で湿ってダメになっちゃう。雪崩の危険性も高いところで、ぴりっぴりな感じなんですよね。緊張感がすごい。滑り降りてくるだけなら登りさえすればできますけど、その中で、俺らはジャンプとかも入れていかないといけない。相当リスキーですよね。せっかくポイントまでたどり着いても、一発ジャンプを飛んで失敗したらそれで終わりですから。
──今回は、それもうまくいったわけですね。
國母 そこは観てからのお楽しみということで。
──10月4日、ポートランドで最初の試写会があったそうですが、そのときの反応はどうでしたか。
國母 編集や撮影に関わった人への初のお披露目の席だったので、ほとんどが業界の人でした。歩夢など出演したライダーも駆けつけてくれました。上映している間は緊張し過ぎて、あんまり覚えていません。上映が終わったときはスタンディングオベーションがなかなか鳴り止まず、涙をこらえるのに必死でしたね。
取材・構成/中村計 撮影/工藤了
協力/PRESSCAFE
プロフィール
國母和宏
1988年生まれ、北海道石狩市出身。4歳からスノーボードを始め、2003年、わずか14歳でUSオープンの表彰台に立つ。06年トリノ、10年バンクーバーと2度の五輪出場経験を持つ日本スノーボード界の第一人者。16年に最も権威のあるコンクール「RIDERS POLL 18」で「年間ベストビデオパート賞」を受賞。