ウルトラマン不滅の10大決戦 完全解説 第10回

「人間の身勝手さ」と「戦いのむなしさ」を感じた怪獣

古谷敏×やくみつる

ホシノ さて、大詰めです。

やく はい。

ホシノ 待ちきれません、やくさん、栄光の第2位の発表を!

やく わかりました。第2位は伝説の大坂城決戦、ゴモラとの一騎打ちでございます。

ゴモラはジョンスン島に生息していた1億5000年前の古代生物。学名はゴモラザウルス。大阪の万博会場に空輸される途中で六甲山へ落下。そのショックで強い生命力が甦り、大阪市街を暴れ回る

ホシノ パチパチパチ、それにしても、古谷さん。

古谷 はい。

ホシノ 改めて見直してみても、ゴモラってカッケ―怪獣ですよね。怪獣らしい怪獣とでもいいますか。

古谷 ですね。僕もそう思います。なにせ宅地開発の空き地で初めてゴモラと対峙したとき “カッコいい怪獣だな、これぞ怪獣って感じだぞ” とマスクの下で呟いた記憶が残っていますよ。

ホシノ こんな強そうな怪獣に勝てるのかな、と思ったりとかは?

古谷 思いましたねえ(笑)。いや、最終回じゃないですから、最後は勝つはずなんですが、そこまでどうやってもっていけばいいのか、つまり、どのように攻撃を構築していけば、見るからに強そうなゴモラを弱らすことができるのか、けっこう悩みましたよね。

やく 怪獣らしい圧力がズバ抜けていましたからね、ゴモラは。

古谷 そうなんですよ。それと、実際に戦ってみてイヤだったのはゴモラの爪。本当に硬くて鋭く非常に危険だった。肩をつかまれた瞬間 “うわっ、痛いっ” と叫びましたから。

やく 爪が痛いという話は、実にリアルです。

古谷 あまりの痛さに撮影後、デザインを手掛けた美術の成田亨さんに「痛すぎますよ、ゴモラの爪」って文句を言ったほどです(笑)。

やく ウルトラマンとて痛覚はあります!(笑)。

古谷 触るだけで痛かったですよ。

ホシノ それではゴモラの圧力がハンパなかった戦いを振り返ってみましょう。

 

不滅の10大決戦 第2位
古代怪獣 ゴモラ
身長/40m 体重/2万t
 
【バトルプレイバック】
★運命の宅地開発ラウンド
 怪獣殿下が木の棒を掲げ「ウルトラマ~ン」と叫ぶ。すると本当にウルトラマンが飛来し、ゴモラに体当たり。両者倒れ込みつつも、先手を取ったのはウルトラマン。素早くマウントポジションを取るが、下から蹴りをぶち込むゴモラ。きれいに後転しながら立ち上がったウルトラマンは、迫って来るゴモラに背負い投げ。己の突進力を利用されての豪快な投げ技を食らい、ゴモラは怒りの咆哮をあげる。
 その怒りを警戒しながら、低い姿勢での戦闘態勢で構えるウルトラマン。怒りのままに突進をかましてくるゴモラを一度は受け止めたウルトラマンだったが、結局は突進を止められず、高々と吹っ飛ばされる。倒れたウルトラマンにストンピング攻撃をかますゴモラ…も、ウルトラマンにうまく跳ね除けられ転倒。ここで戦略を変え、得意の尻尾ブン回し攻撃に移行。思いっきりゴモラの尻尾にブン殴られたウルトラマンは吹っ飛びながら悶絶。

 その重量感溢れる尻尾ブン回し攻撃に想像以上のダメージと体力を奪われたが、なんとか気力を振り絞り、ゴモラとくんずほぐれつの攻防。その流れでゴモラのエルボー攻撃が見事にクリーンヒット。あまりの強烈な痛みで思わず前屈みになるウルトラマンにゴモラが右キック。そして、怒涛の尻尾ブン回し攻撃炸裂で、バシバシとウルトラマンをしばき倒す。その回数11発。これには無敵のウルトラマンも完全にグロッキー状態に追いつめられる。

完全に力負けだった宅地開発ラウンド。ゴモラの圧力とエグい尻尾ブン回し攻撃に、さすがのウルトラマンも面食らったまま自分のペースで戦えなかった。最後もスぺシウム光線を放っても勝てるかどうか……というようならしからぬ躊躇が垣間見れた

 それでも必死に立ち上がろうとするウルトラマンの背中を非情にも踏みつけ、「今日はこれぐらいにしといてやる」と吉本新喜劇の池乃めだかの捨て台詞を吐くようにしてゴモラは地中に。逃がさんぞと膝立ち状態でスぺシウム光線を放とうとしたウルトラマンだったが、視界に残ったのはゴモラの尻尾。結果的には痛み分けのような一戦だったが、ゴモラの圧力に押し負けた分、ウルトラマンの敗北ともいえた。
 
★決着の大阪城ラウンド
 宅地開発決戦と同様に飛来しながらゴモラにキックを放つウルトラマン。てめえ、また痛い目に遭わせたろか、と突進してくるゴモラに天龍源一郎ばりの逆水平チョップを繰り出すが、ブロックされてしまう。さらに向かってくるゴモラに対して首投げ。先制攻撃を許し、焦りが出てきたゴモラは、大阪城到着前に科特隊の攻撃によって尻尾が切断されているというのにブン回し攻撃を仕掛けようとする。当然、尻尾がないため、ただの腰振りダンスになってしまう。

切断されているのに気づかず、尻尾ブン回し攻撃を試みようとするゴモラ。放送当時は、このシーンが滑稽に思えたが、改めて見直してみると、ゴモラのウルトラマンに勝って生き延びようとする精一杯の姿勢に胸が熱くなる

 そこにウルトラマンが千切れた尻尾あたりに目がけてマラドーナばりの強烈なサッカーボールキック。そのまま前のめりに崩れ落ちるゴモラ。そして、またもくんずほぐれつの攻防へ。ゴモラの角をむんずとつかんで引き上げ顔面を4回地面に叩きつけるなどの荒っぽい攻撃が続く。

 この大阪城ラウンドでのウルトラマンは前回の宅地開発ラウンドの反省を活かし、接近戦からゴモラの角をつかみ、そこを拠点にしての柔道技、ボクシングの打撃攻撃を有効に使う。その一連の流れの中で、ついにウルトラマンの十八番、怪獣の突起物叩き折りの攻撃が始まる。ゴモラの頭を下に振り落とすのと同時に右ひざを突き立て、左角をボキッ。もだえ苦しむゴモラ。「今日はこのぐらいにしといたる」と、またしても池乃めだかのような台詞を吐くような感じで地中に逃げようとするゴモラだったが、ウルトラマンに切断された尻尾のあたりをつかまれ、そのまま室伏広治もビックリのハンマー投げ。

 この投げ技は効いた。もはやボロボロ、ダウン寸前のゴモラの眉間目がけて必殺のスぺシウム光線。ゴモラはよろめきながらも立ち上がるも、最後は後ろにひっくり返るように倒れ、ウルトラマンの完全勝利となった。

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プロフィール

古谷敏×やくみつる

 

古谷敏(ふるや さとし)
1943年、東京生まれ。俳優。1966年に『ウルトラQ』のケムール人に抜擢され、そのスタイルが評判を呼びウルトラマンのスーツアクターに。1967年には「顔の見れる役」として『ウルトラセブン』でウルトラ警備隊のアマギ隊員を好演。その後、株式会社ビンプロモーションを設立し、イベント運営に携わる。著書に『ウルトラマンになった男』(小学館)がある。

 

やくみつる(やくみつる)
1959年、東京生まれ。漫画家、好角家、日本昆虫協会副会長、珍品コレクターであり漢字博士。テレビのクイズ番組の回答者、ワイドショーのコメンテーターやエッセイストとしても活躍中。4コマ漫画の大家とも呼ばれ、その作品数の膨大さは本人も確認できず。「ユーキャン新語・流行語大賞」選考委員。小学生の頃にテレビで見て以来の筋金入りのウルトラマンファン。

 
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「人間の身勝手さ」と「戦いのむなしさ」を感じた怪獣

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