宇都宮直子 スケートを語る 第4回

トルソワ前編

宇都宮直子
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 フィギュアスケートは、女子選手のピークがとても早くやってくる。そして、ピークの時期は総じて短い。

 ロシアの現状を言えば、残酷でさえあると思う。才能の宝庫ではあるが、「若さ」に頼る危うさを併せ持つ。

 勝てるときに勝っておかないと、次から次に新しい「天才」が現れて、過去に追いやられてしまうのだ。

 十代前半の選手の拮抗には、目を見張るものがある。育成の成果はすばらしい。一方、フィギュアスケートの美しさは技術だけではない。

 私は、エリザベータ・トゥクタミシェワ(1996 年生まれ)の演技が好きだし、年齢を重ねたあとのアリーナ・ザギトワ(2002 年生まれ)の演技を楽しみにしている。たとえば、そういうことだ。

 

 ところで、「人生が止まった」あと、トルソワは新しい道を歩くことにした。

 名伯楽エテリ・トゥトベリーゼのもとを離れ、皇帝エフゲニー・プルシェンコのもとへ移籍したのである。

 この件については次回に綴るが、アレクサンドラ・トルソワの人生は、彼女のものだ。自らの信じる道を進めばいいと、私は考えている。

 

 

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宇都宮直子 スケートを語る

ノンフィクション作家、エッセイストの宇都宮直子が、フィギュアスケートにまつわる様々な問題を取材する。

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プロフィール

宇都宮直子

ノンフィクション作家、エッセイスト。医療、人物、教育、スポーツ、ペットと人間の関わりなど、幅広いジャンルで活動。フィギュアスケートの取材・執筆は20年以上におよび、スポーツ誌、文芸誌などでルポルタージュ、エッセイを発表している。著書に『人間らしい死を迎えるために』『ペットと日本人』『別れの何が悲しいのですかと、三國連太郎は言った』『羽生結弦が生まれるまで 日本男子フィギュアスケート挑戦の歴史』『スケートは人生だ!』ほか多数。2020年1月に『羽生結弦を生んだ男 都築章一郎の道程』を、また4月には『三國連太郎、彷徨う魂へ』が刊行されている。

 

 
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