ガザの声を聴け! 第38回

日本の“冬の時代”

清田明宏
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Clip to Evernote

もう一つ象徴的な話を。

 

米国のニューヨークには国連本部がある。そこで国連本部と関連した仕事をしている日本人に聞いた話だ。日本の政府のかなり高い地位にある政治家がニューヨークの国連本部を訪ねることがあり、その歓迎会が国連の日本人職員を集めて行われた。例によってその多くは女性である。

 

その政治家が「みなさんのように非常に有能な女性の方は是非日本に帰って、日本のために働いてほしい」と話された。すると、参加した女性職員の方はおしなべて、「いやです」というニュアンスの返事をされたそうだ。

 

国連は男女平等、女性の進出を精力的に推し進めている。幹部に女性がどれだけいるかが、各々の国連機関の評価の基準になっている。私のUNRWA「ウンルワ」での直接の上司もずっと女性だ。

 

もちろん、日本でとても素晴らしい仕事をする女性は多くいらっしゃる。国外に出ることは個人の選択の問題だ。しかし、国連の日本人職員に女性が多いことは、日本での女性の社会進出状況の裏返しでは、と私は感じている。

 

もし、彼女たちが世界に出る理由の一つに、日本の社会では仕事がしにくい、女性の活用が進んでいない、国の人口の半分である女性が国の発展に寄与する機会を与えられていないというのであれば、大きな問題だ。Holding Back Half of the Nation 、その意味のとおりだ。これらの根底にある事情は、非常に個人的なレベルでも感じることがある。

 

1 2 3
 第37回
第39回 
ガザの声を聴け!

1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。

プロフィール

清田明宏
1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。
 
集英社新書公式Twitter 集英社新書Youtube公式チャンネル

プラスをSNSでも

Twitter, Youtube

日本の“冬の時代”

;