特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第13回

『ファンタジー・オン・アイス』の羽生結弦に見た「希望」とは

高山真

 これはあくまでも私の勝手な推測にすぎません。ただ、羽生結弦とチーム・ブライアンが「今までに成し遂げてきたこと」は、非常に緻密で、先々まで見通した戦略によって実現されたものである。そのことは、私以上に皆様のほうがご存じでしょう。だとしたら、『ファンタジー・オン・アイス』よりもっと前から、

「すでに何かを始めていた。何かに取り組んでいた」

 のではないか、と……。

 

 そんなことを想像しながら鑑賞する『CRYSTAL MEMORIES』も『マスカレイド』も極上の味わいでした。

 いくつかの会場では、オープニングでアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のテーマ曲『残酷な天使のテーゼ』が使われていましたが、この曲で演技をする羽生結弦が、上半身を限界まで使い「激情」と呼びたくなるようなダンスを披露していたのも、私には強い印象を残したのです。

 余談ですが、この曲の作詞を担当された及川眠子先生も、羽生結弦が『残酷な天使のテーゼ』で滑ることをとても喜んでいらしたのが印象的でした。

 

 8月24、25日に放映される日本テレビの『24時間テレビ』では、松任谷由実とコラボして『春よ、来い』を演じるのも、本当に楽しみです。私にとって、日本のアーティストのオールタイムフェイバリットのひとりであるユーミンと、フィギュアスケートの世界のオールタイムフェイバリットのひとりである羽生結弦。そのふたりが出会うなんて!

「生きていれば、まだまだ素敵なことに出会える」と素直に思えます。

 

 今シーズンもまた、フィギュアスケートのことを書き続けるチャンスをいただけるかもしれない。そのことに希望を持ちながら、体調を整えていきたいと思っています。

 酷暑が続きますが、皆様もどうぞご自愛くださいませ。

 

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

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『ファンタジー・オン・アイス』の羽生結弦に見た「希望」とは