特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第14回

『24時間テレビ』の羽生結弦の演技に感じた「今シーズンの希望」

高山真
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 8月下旬、日本テレビ系列で放送された『24時間テレビ』、羽生結弦は、ユーミンこと松任谷由実、そしてピアニストの清塚信也とのコラボで、ユーミンの名曲『春よ、来い』で演技を披露しました。

 北海道胆振東部地震の被災地に向けたプログラム。ここ数年、羽生結弦は『24時間テレビ』で、災害の被災者の方々に捧げたプログラムを披露しています。

 拙著『羽生結弦は助走をしない』『羽生結弦は捧げていく』にも書いていますが、羽生は東日本大震災の被災者のひとりで、かつ、震災被害者に対してさまざまな形で献身的な活動を続けています。

 率直に言って私は、

「被災者の方々は、頑張るというよりは、ただただ自分自身のことだけを考えるくらいでいい」

「こういう場合、頑張るのは、被災地以外に住んでいた人たち(当然、私自身を含みます)の役目」

 と思っています。もちろんこれは、羽生の活動に異を唱える意図は一切ありません。そうではなくて、

「羽生の活動を通して、自分の日々の生活のありようを再考する機会を与えてもらっている」

 という意味です。

 自分にも、もう少し何ができることがあるかもしれない……。そんな「気づき」を、自分よりはるかに年若い人からもらえるのは、とても幸運なことだと思うのです。

 

 そしてユーミンこと松任谷由実。私は日本のミュージシャンの中でユーミンがことのほか好きなので、今回のコラボは単純にファンとしても「眼福」でした。

 羽生結弦が今回のプログラムの中に込めた被災地、被災者の方々への思いを、「想像の範囲内」で書き記すのは野暮かと思います。また、そうした思いは、見る人ひとりひとりがオリジナルに解釈し、そして受け取る大切な感情だとも思います。

 ですので、ここでは「私が見た、羽生結弦のスケーティング」のことを書かせていただければと思います。

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 第13回
特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

関連書籍

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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『24時間テレビ』の羽生結弦の演技に感じた「今シーズンの希望」