これも書いたことがあるかと思いますが、私は『24時間テレビ』で羽生の演技を見た後、「いいものを見せてもらったチケット代」のつもりで少額ながら寄付をしています。もちろんこれは「すべての人が同じことをすべき」と言っているわけでは決してありません。人それぞれに事情がおありになるのは当然ですから。
これはあくまでも、私なりのやり方です。最初に申した通り、「自分の日々の生活のありようを再考する」ための、行動のひとつなのです。
今回の羽生のスケーティングから、
「単に『エッジが深い』というだけではなく、『エッジの深浅を自在に操る』という持ち味が、さらに明確になった」
「大きなカーブと、鋭いターンの組み合わせに、さらなるなめらかさが加味された」
と感じたのは、私だけではない……と感じています。
間もなく始まるオータムクラシックで、何が見られるか。何を見せてくれるのか。そこから、何を感じ取ることができるのか……。
本格的なシーズンの開幕を前に、私はただただ心を躍らせています。
今シーズンも現役選手としての活動を続けてくれる羽生結弦に、あらためて感謝とリスペクトを捧げつつ。
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『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。
プロフィール
高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。