特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第15回

羽生結弦のオータムクラシックに感じた「伸びしろ」とは

高山真
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 フィギュアスケートの2019-20年シーズンが幕を開けました。オータムクラシック、私なりに詳細に振り返らせていただけたらと思います。

 

 羽生結弦は、ショートプログラムは『Otonal』、フリーは『Origin』、前シーズンと同じ曲を使用しています。

 シーズンごとに曲を替えていく選手のほうが多いのは確かですが、私個人としては「それは選手およびコーチの判断でいい」と思っています。

 

 たとえば女子シングルでオリンピック二連覇を果たしたカタリナ・ヴィットは、サラエボオリンピックで1つめの金メダルを獲得した1983-84年シーズン、そして翌シーズンの1984-85年シーズンのフリーはジョージ・ガーシュウィンのメドレーとジャズナンバーの『モナリザ』をつないだ同じ曲で演技をしています(冒頭のコンビネーションジャンプをはじめとしたジャンプの構成、プログラム終盤のムーヴズ・イン・ザ・フィールドの要素など、変更点はあります)。また、1985-86年シーズンと、続く1986-87年シーズンのフリーで同じ曲(『ウェスト・サイド・ストーリー』)を使用しています。

「新しい魅力を次々に打ち出す」

 という選手も、

「ひとつの曲の解釈や表現を、自分が納得できるまで深めていく」

 という選手も、どちらも正解だと私は思っています。

 

 では、羽生結弦のショートプログラム、フリーを振り返りたいと思います。

 

◆羽生結弦

■ショートプログラム

 4回転サルコーで転倒はあったものの、やはり滑りそのものの大きさ、美しさを堪能しました。かつ、先ほど述べた「ひとつの曲の解釈や表現を、自分が納得できるまで深め」ながら、新しいチャレンジ、模索を感じるプログラムだったとも感じました。

 要素の実施順に、感嘆した個所をつづっていきたいと思います。なお、ショートプログラムの『Otonal』、フリーの『Origin』とも前シーズンの作品がベースになっていますので、拙著『羽生結弦は捧げていく』に書いたことと重複する部分があることをご了承ください。

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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羽生結弦のオータムクラシックに感じた「伸びしろ」とは