私はいま、折に触れ、2020年の四大陸選手権の、羽生結弦のあの素晴らしいショートプログラムを繰り返し鑑賞しています。
「2020-21年シーズンが本格的に開幕する前に、あの極限まで磨き抜かれた美しさを、私なりに原稿にしたい」
という気持ちで、自分なりに治療と向き合っています。
まだ、やりたいことがたくさんある。書きたいことがたくさんある。そう思える自分で居続けたい…。そんなふうに自分に喝を入れている日々です。
先ほど申しあげたように、すべてのスケーターは、先の見えないこの世界で、それでも前を向き、鍛錬を続けています。そんな若いスケーターの精神的な強さ、まっすぐさを見習っている部分も多々あります。
自分よりもはるかに若い人たちの中に、見習うべき人たち、尊敬に値する人たちがたくさんいる。それはとても幸せなことだと、日々実感しています。
そんな幸せに感謝しつつ、もう少し養生させていただきたく存じております。ご迷惑ばかりおかけして恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
高山真
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『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。
プロフィール
高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。