フィギュアスケートの世界選手権、3月21日はペアスケーティングのフリーと男子シングルのショートプログラムがおこなわれました。
ペアで優勝した隋文静&韓聡、通称「スイハン」のフリーは、ペア競技の歴史に残る傑作だったと断言したいと思います。すべての要素をノーミスで実施したうえで、しかし「ノーミスの演技だった」と簡単に表現することがはばかられてしまうような……。
私はかつて、羽生結弦のエキシビションプログラム『ノッテ・ステラータ』の素晴らしさを、「エッセイストの私から言葉を奪ってしまうような」と記したしたことがありますが、今回もそれと同じ感慨をいだきました。
「筆舌に尽くしがたい」とか「beyond description」とか「speechless」とか、さまざまな表現がありますが、スイハンのあの演技から受けた感動や衝撃をどう言葉にすればいいか、半日近く経った今でも迷っています。とにかく、凄いものを見ました。
『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。
プロフィール
高山真
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。