ホシノ 今回は早速、第5位を。
やく ではまいります。
ホシノ ドロロロロロロ~(くちドラム)ジャガジャン!
やく 栄光の第5位はジラース戦。
古谷 なるほど、そうきましたか。
やく やっぱり外せません、対ジラースは。まずゴジラのスーツアクターとしてあまりにも有名な中島春雄さんとのぶつかり合い。
古谷 大先輩ですからねえ。
ホシノ あのですね、古谷さん。
古谷 はい?
ホシノ 40年以上前から、どうしてもお訊ねしたいことがあって。
古谷 どうぞどうぞ、なんでも。
ホシノ 初めてジラースと対峙した瞬間、“こいつ、ゴジラじゃね?”と思いませんでしたか。
古谷 思いました(笑)。
やく 中に入っているのも、中島さんだし。
ホシノ ボクら当時の子供たちは、うわっ、ついにウルトラマン対ゴジラが実現しちゃったよ、と大騒ぎだったんですよね。
古谷 そういう見方もあるだろうな、と思っていました。とくに後半戦は。
やく エリ巻きを剥ぎ取ってから?
古谷 ええ。僕が強く感じていましたからね、エリ巻きを剥ぎ取ったときに、あ、ゴジラだって(笑)。
ホシノ そのジラース=見た目ゴジラを含めまして、とにかくお聞きしたいこと、確認したいことがてんこ盛りですが、その前にウルトラマンとジラースの死闘を振り返ってみましょう。
不滅の10大決戦 第5位
エリ巻き恐竜 ジラース
身長45m・体重2万t
【バトル・プレイバック】
それまでの戦いとは違い、ジラースを相手に数々のボディアクションで茶の間を釘付けにするウルトラマン。しょっぱなから家を破壊しようとジラースが振り上げた右手をつかみ阻止したウルトラマンは、手を横に振って大阪芸人のように“ちゃいまんがな”的なポーズをし、続けて“来い、来い”と挑発。その後、互いに間合いを探りながら、対峙する両者。
張り詰める緊迫感を破ったのはジラース。岩を拾い空に投げつけ、口から白熱光線を放射して破壊。その威力をウルトラマンに見せつけ威嚇する。対するウルトラマンも負けじと岩を放り投げ、スぺシウム光線で木っ端微塵に。お主、なかなかやるな、といった雰囲気を漂わせたジラースは、相撲の仕切りを見せたかと思うと勢いよく突進するが、ウルトラマン、ここは冷静に頭をつかんで押し返す。この相撲部屋の朝稽古のような攻防が続き、ついにジラースの頭を押さえてからの後方投げ飛ばし後に、勝ち誇ったように笑う。
頭に血が上ったジラースは白熱光線を乱射。しかし、軽やかなフットワークを披露するウルトラマンには当たらず。そのまま一気に間合いを詰めたウルトラマンはジラースのエリ巻きをムンズとつかみ、ベリッと引きはがす。その剥ぎ取ったエリ巻きをムレータ(闘牛士が牛を挑発する赤い布)のようにヒラヒラさせ、突進してくるジラースの猛攻をかわして見せる。そして、またも互いに間合いを探る両者。その緊張感に耐えられなくなったか、どちらからともなく相手に飛び込むようにして、くんずほぐれつの肉弾戦の攻防を展開。
一瞬の静寂後、意を決して襲いかかるジラースとの距離を冷静に見計らいながら走り込むウルトラマン。その瞬間、すれ違いざまに手刀を打ち込む必殺の「ウルトラかすみ斬り」が炸裂! ジラースの口から鮮血がしたたり落ち、前のめりに倒れ込む。ウルトラマンは敬意を払うように、剥ぎ取ったエリ巻きをそっとジラースの首にかけたのだった。
プロフィール
古谷敏(ふるや さとし)
1943年、東京生まれ。俳優。1966年に『ウルトラQ』のケムール人に抜擢され、そのスタイルが評判を呼びウルトラマンのスーツアクターに。1967年には「顔の見れる役」として『ウルトラセブン』でウルトラ警備隊のアマギ隊員を好演。その後、株式会社ビンプロモーションを設立し、イベント運営に携わる。著書に『ウルトラマンになった男』(小学館)がある。
やくみつる(やくみつる)
1959年、東京生まれ。漫画家、好角家、日本昆虫協会副会長、珍品コレクターであり漢字博士。テレビのクイズ番組の回答者、ワイドショーのコメンテーターやエッセイストとしても活躍中。4コマ漫画の大家とも呼ばれ、その作品数の膨大さは本人も確認できず。「ユーキャン新語・流行語大賞」選考委員。小学生の頃にテレビで見て以来の筋金入りのウルトラマンファン。