ガザの声を聴け! 第39回

「女子力事件」

清田明宏
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しかし、娘はこう言った。

 

「もし褒めてくださるのであれば、女子力ではなく、人間力という言葉を使うべきではないか」

 

そのあと、日本で有数の国立大学医学部の男子学生に会った。欧米でずっと教育を受け、医学部に入ったそうだ。とても優秀だが、物腰は非常に柔らかい、素晴らしい学生さんだ。

 

彼に「女子力事件」のことを話すと、大笑いをしていた。「わかる」と言いながら。

 

そして、こういう話をしてくれた。日本の大学に入って、同級生や友達等と話していて、一番欧米の学校と違うのは、日本ではお互いが男女であることを絶えず意識していることだ、と。

 

欧米では、まず個人が最初にある。もちろん性別を意識することはある。でも最初に意識するのは、あるいは最初に大事なのはその人個人であり、それが男性、女性だったりする。男女というジェンダーの前に、まず個人があったのだそうだ。

 

もちろん、ここには歴然とした文化・社会習慣の違いがある。そして、この違いを単純に一般化することはできない。日本と欧米の考え方の優越を断じるほど私も傲慢ではない。そして、私の娘の考え方が正しいと擁護するほど、親バカでもない。

 

ただ、なぜ娘が「女子力」という褒め言葉に怒ったのか、その背景を理解することは大事だと思う。本当に大事なのは、「女子力」でも「男子力」(そういう言葉があるかどうかは知らないが)でもない。娘の言うとおり、確かに「人間力」なのだから。

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ガザの声を聴け!

1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。

プロフィール

清田明宏
1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。
 
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