ガザの声を聴け! 第39回

「女子力事件」

清田明宏
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この話には余談がある。

 

娘は今大学3年生。来年は就職だ。そのため、昨年11月に米国東海岸の都市ボストンで開かれたボストン・キャリアフォーラムに行った。このキャリアフォーラムは毎年11月ごろにボストンで3日間にわたって開かれる、全米最大の日本語/英語のバイリンガルを対象とする就職フォーラムだ。日本の企業が200社以上参加する。皆いわゆる一流企業だ。参加する学生の数も8000人以上と多い。日本や欧州からも学生が集まる。ともかく非常に大きな就職説明会だ。

 

娘は、様々な会社のブースを訪ね、会社や仕事に関して話を聞いた。その中で、彼女は「女性は仕事をしやすいですか」と聞いたそうだ。その問いに対して、全ての日本の企業が全く同じ答えだったと、娘が笑って教えてくれた。

 

「うち(の会社)は、産休・育休はきちんとありますし、取れます」。

 

「日本の会社は女性社員に期待しているのは妊娠・子育てが一番なのかな」と娘は笑っていた。私も半分笑って、半分非常に考えさせられた。

 

娘の米国の大学には、当然だが米国の企業が説明に来る。その時、同じ質問をすると、様々な答えが返ってくるのだそうだ。大体は、うち(の会社)の副社長は女性です、とか、幹部に女性が多いです、男女差ではなく能力で出世が決まります、等だそうだ。産休や育休の話をする会社は全くないとのことだ。

 

この差は文化・社会の違いと一言で片付けるには、やはり大きすぎる。「女性が仕事しやすい会社ですか」の問いに、「産休・育休はきちんとあります」という会社と(あるいはその会社が存在する社会)、「幹部は女性が多いです」という会社(そしてその社会)との差が何であるか、真剣に考える必要がある。そしてそれを改善しなければ、日本社会は永遠に“冬の時代”が続く。

 

 

 

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 第38回
ガザの声を聴け!

1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。

プロフィール

清田明宏
1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。
 
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