腹から金玉 39歳、目が覚めたらオストメイト ep.08

がんのステージ告知、されてみた

2024年6月4日(火)の記録
かわむらまみ

ある日、いきなり大腸がんと診断され、オストメイトになった39歳のライターが綴る日々。笑いながら泣けて、泣きながら学べる新感覚の闘病エッセイ。

さて、お待ちかねの大腸がんの検査結果、ついに聞きに行ってきました。結論から言うと、ステージ3、厳密にはステージⅢcとやらでした。ひとまず、ステージ4じゃなくてよかった……のかな。

とはいえ、がんはリンパに4個以上転移していて、腸に穴が空いていたくらいなので深達度も一番深い状態だそう。一応、手術中に確認できたがん腫瘍は全部取ってくださったとのことです。よっ、名医! 診察中、先生が丁寧に「ここががんで〜」と手術中の写真を見せて説明してくださいましたが、いや、わたくしグロ画像の耐性はありませんけれども? と思いました。

ステージⅢcだと、再発やほかの臓器へ転移するリスク、あるいは見つかっていないだけですでに転移している見込みは、残念ながら低くはないようです。生きていたらいろいろあるね。でもまあ、なっちゃったもんは仕方ないからな。というか、Googleで調べてもⅢbまでしか出てこないんだけれど、cって何? cuteのc?

一応、Ⅲcとやらの5年後の生存率についても先生に尋ねたところ「Ⅲbで60%だから、Ⅲcだと50〜60%くらいなんじゃない」とのことでした。なるほど? ステージ4で生存率18%……というケースも十分に想定していたので、もはや喜ぶべきか悲しむべきかわからなくて「えー、やば〜」とギャルのような返事をしておきました。

抗がん剤治療は今日からちょうど1週間後、6月11日からスタートする予定です。そこから約半年かけて治療を進めていくんだって。診察の後に、看護師さんがあれこれ詳しく説明してくれました。わたしの場合は「CAPOX療法」と呼ばれる、点滴と内服を併用する治療法が採られるとのこと。考えられる副作用はそりゃもうわんさかあるようで、なかでも代表的なものとして、ほぼ100%の割合で手足に痺れが見られるそうです。あとは、めまいとか頭痛とか色素沈着とか吐き気とか、なんかいろいろ。

そんな副作用を最小限に抑えるためには、とにかく身体を冷やしたらダメみたい。なので、冷たい飲み物やアイスクリームなどが飲み食いできないのはおろか、冷蔵庫の物を取ったり金属製のドアノブに触れたりするときでさえ、手袋の着用が推奨されているようです。めっ、めんどい……! しかし、面倒くさがっている場合ではまったくない。副作用が悪化すると、風に当たるだけでも痛みを感じてしまうらしいので。痛風じゃん。痛風ってめちゃくちゃ痛いらしいね。あとは日焼けもよくないみたい。色素沈着しやすいから、って。

診察中も説明を受けながらもずっとへらへらしていたくせに、症例写真で色素沈着を目の当たりにしたときには、ショックでぶわっと涙が出てしまった。黒ずんだ手のひら、あかぎれを起こした指先、手の甲や頬にできた大きなシミ。視覚情報ってすごい。これから起こることが現実なのだと思い知らされる。看護師さんが「そうだよね、ごめんね」と慌ててティッシュを持ってきてくれて、大人なのに情けないなぁ、と申し訳ない気持ちになった。がんの告知を受けた人は、人前で泣いたり、動揺をあらわにしたりするのだろうか。誰かのそのシーンをわたしが目にすることはないだろうし、そうあってほしいけれど。

看護師さんは30分以上もかけて、ゆっくりと丁寧に副作用の説明をしてくれた。これからの抗がん剤治療にあたって、彼女がわたしの担当になってくれるらしい。ありがたい。こんなによくしてくれる人を困らせてはならないと思って、しょうもない冗談をいくつか言った。看護師さんは、あらあら、と一緒に笑ってくれて、その優しさに余計泣きそうになってしまった。

副作用もさることながら、出費もなかなか痛いよな〜。保険適用でも一撃3万円オーバーの点滴を、半年かけて8回も打つらしい。加えて、内服薬とストーマの装具代でしょ? ストーマの装具だけでも、平気で月に8,000円くらいかかる。当方、医療保険未加入かつ時短勤務のサラリーマン、別の意味で死にそうですが? ビールが飲めない、日焼けできない、ついでにお金もないということで、今年の夏はもう外に出る理由が何ひとつとしてありません。もし飲みに出かけた暁には、わたしの目の前で冷えたビールを飲んだ奴から順にストーマを移植してやろうと思います。みんなでチーム金玉を結成しましょう。

そんなこんなで、ひとまず、かわむらは全然元気です。まずは半年間再発や転移がなければ、しばらくは生き延びられるのでは? でも、何やらキツそうな治療を半年間しっかり続けられるか、正直言って自信ないなぁ、とにかく自分に甘いしなぁ。えへ。

とりあえず、まずは今できることを! と思って、今日は通院の帰りにスタバに寄って、バナナブリュレフラペチーノを飲みました。今できること、絶対もっとほかにある。でも思い浮かばないので、11日の治療開始まで、せめて身体の冷やし納めをしていきたいと思います。おすすめのアイスがあったら教えてください。わたしのおすすめはあずきバーと白くまです。

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写真は、フラペチーノじゃなくてスターバックスラテですが。スタバ、実は一度もコーヒーを頼んだことがない。

(毎週金曜更新♡次回は11月29日公開)

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腹から金玉 39歳、目が覚めたらオストメイト

ある日、いきなり大腸がんと診断され、オストメイトになった39歳のライターが綴る日々。笑いながら泣けて、泣きながら学べる新感覚の闘病エッセイ。

プロフィール

かわむらまみ

ライター

1985年生、都内在住。2024年5月にステージⅢcの大腸がん(S状結腸がん)が判明し、現在は標準治療にて抗がん剤治療中。また、一時的ストーマを有するオストメイトとして生活している。日本酒と寿司とマクドナルドのポテトが好き。早くこのあたりに著書を書き連ねたい。

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