「それから」の大阪 第5回

コロナ禍の道頓堀界隈を歩く

スズキナオ

ミナミが大阪全体の痛手を引き受けている

いつも海外からの観光客でごった返していた黒門市場も、ひっそりと静かだった。おろしたシャッターに閉店を告げる貼り紙があるのもちらほらと目に入る。店じまい間際の惣菜店で夕飯のおかずを買い、和菓子店でお団子を購入。これではお店にとって少しの足しにもならないが、今はこうやって地元の人が少しでも買い物をするべき時なのだろう。

夕暮れ時の黒門市場の様子(2020年12月撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、同行の知人が「ミナミのコテコテの大阪の感じは個人的にはそんなに好きではなかったけど、道頓堀みたいにわかりやすい場所があるから観光客が集まる。今はミナミが大阪全体の痛手を引き受けているように思える」と言っていたのが印象に残った。

道頓堀も黒門市場も国内外の観光客向けにバランスを傾け、町を変化させていったエリアだ。この現状を観光客に頼り過ぎた結果だと批判する声もあるが、単にお金の流れだけでなく、大阪全体がこのエリアから受けている恩恵は少なくないはずだ。ここから立ち直っていくのに一体どれぐらいの時間が必要なのだろうかとぼーっと考えながら、駅までの道を歩いた。

(つづく)

1 2 3
 第4回
第6回 
「それから」の大阪

2014年から大阪に移住したライターが、「コロナ後」の大阪の町を歩き、考える。「密」だからこそ魅力的だった大阪の町は、変わってしまうのか。それとも、変わらないのか──。

プロフィール

スズキナオ

1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』『QJWeb』『よみタイ』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)、『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)、パリッコとの共著に『のみタイム』(スタンド・ブックス)、『酒の穴』(シカク出版)、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ”お酒』(イースト・プレス)がある。

 
集英社新書公式Twitter 集英社新書Youtube公式チャンネル

プラスをSNSでも

Twitter, Youtube

コロナ禍の道頓堀界隈を歩く