プラスインタビュー

コロナ禍で再注目される ウェブによる政治参加 【前編】

株式会社PoliPoli 伊藤和真さんインタビュー

伊藤和真

いまおっしゃられたように、PoliPoliが「応援」に特化したプラットフォームであるということは、「荒らしコメント」が少ないことからもよくわかります。どのような工夫をされているのでしょうか。

 

「政治家に意見を伝えて、政治や政策を動かす」というPoliPoliの理念に則ったルール作りを行っています。その一つがコメントのチェックです。例えば「絶対に反対です。もう議員辞めてください」みたいな誹謗中傷に近いコメントはできないようになっています。プラットフォームとしてはTwitterほど自由ではないですが、その分、意見や政策が通りやすい仕組み作りは意識しています。やはり誹謗中傷があると、議員でも傷つくんですよ。それが原因で意見を聞くことが嫌になってしまったら元も子もないですし、本当は動くはずのものが動かなかったりする。だからリプライ機能もあえてつけていません。もちろん議論があったほうが、プラットフォームとしては盛り上がるのですが、それが政策を進めることへの妨げにもなりうるからです。

新型コロナ対策の政策投稿などをみてもわかるのが、適切な方法と順序でロビイングをしていけば政治は動くんですよ。だからこのようなロビイングの方法をインターネットの力で民主化するというのは僕らの役割だと思います。

そもそも、インターネットの本質って何かを民主化することなんですよね。例えば最近は音声や動画のプラットフォームが流行っていますけど、昔はテレビ局やラジオ局に認められなかったら大勢の人に自分の音声や動画を見てもらえなかった。それが今ではアカウントを開設すれば、一瞬で数十億人に広げられる可能性がある。その発信力の民主化こそがインターネットの本質的な可能性ですし、重要なことだと思っています。だからロビイングを民主化するということも、僕らがインターネットサービスだからこそやらなければいけないことだと感じています。


インターネットを通したロビイングのように、新しい政治参加の方法があるということで政治意識が変わっていく可能性はあると思います。ただ、そもそも投票率が低いという事実がありますし、政治について発言すること自体に抵抗がある人もまだまだ多いように思えます。そのような意識を変えてくためにどうすればいいと思いますか。

 

それは、政治での成功体験がないことが原因だと思います。多くの人は、政治で何か変わると思ってないですよね。だから、国会議員や政党が何をしているかも知らないし、投票にも行かない。そのような状況を変えるためには個人個人が小さな成功体験をするのが大切だと思います。

僕も10代のとき政治に興味がありませんでした。興味を持ったきっかけは、2017年の衆院選前に国会議員の街頭演説を見たときです。僕は「街頭演説」というシステムのアナログさに驚いて、思わず演説を終えた国会議員の方に「何でそんなことしてんですか? ネットでやればいいじゃないですか」ということを訊いたんですよ。そうしたら演説が必要な理由をロジカルに説明してもらって、自分の意見も聞き入れてくれた。そこから政治について調べていくうちに、政治を今の時代の形にフィットさせなければいけないと思ってPoli Poliを作ったんですけど、そうした成功体験がなかったら政治に興味を持つこともなかったはずです。

同じように、政治に興味ある高校生とかに話を聞くと、「たまたま学校に来ていた議員さんと話したら面白かった」とか、「お祭りに行って国会議員さんと喋ったら案外優しかった」みたいな、本当に些細な成功体験から始まって、政治に興味を持っている。だからこそPoliPoliでは、政治での小さな成功体験を提供したいと思っています。政治家にメッセージを送ったり、投稿された政策が進んでいくのを目にして「政治って案外変わるんだ」と思ってもらいたいです。

 

どうしても選挙のときになると、所属政党や知名度、今までのキャリアばかり注目されて政策の話になりにくい印象があります。「党派に偏らず、政策ベースで考える」という考え方は、なかなか一般の有権者にも広まりにくい考え方だと思います。

 

そもそも、テレビのニュースだけでは時間の制約があるので、政治や政策について知るのは難しいと思います。だからこそ、政策ベースの考えを広めるのは、インターネットが一番やりやすいんです。なぜなら、各政治家や政党が掲げている政策をすぐに調べられたり、拡散することができるからです。

そして政策ベースという考え方は、SNSが発達した今だからこそ、より重要になると思っています。例えば、クラスの30人のうち1人だけがある意見に賛成していたとします。インターネットやSNSがない時代だったら、その1人はのけ者にされていました。でも、今はクラスのなかでマイノリティだったとしても、日本中の人とウェブで繋がれるから1億人規模で考えると300万人の意見になる。そうするとマイノリティの声でも世の中に認識されるようになるから、小さな声が可視化されるようになるんです。ただ、今の政治における投票や採択だけでは、小さなイシューには対応できていないのが実情です。だからそれぞれのイシューを適切に政治家に伝えて、政策を改良していくことがより重要だと思います。

 

こうしたプラットフォームで危惧されるのは一つの党派に偏ってしまうということだと思います。そこはどのように防いでいるのでしょうか。

 

一つは与党の議員の方が登録したら、野党の議員が登録できるようにコントロールしています。あくまでも僕はプラットフォーマーなので、党派に偏らないことは一番意識している部分です。そもそも個人的には自民党だろうが共産党だろうが、いい政策は評価されるべきだし、その政策をやっている議員さんは評価されるべきだと思っています。だから、イシューとかファクトベースで政策を検討して評価することを大事にしています。

どこかの党派に寄ったほうが、特定の政党の支持者や思想を持った人たちが集まって拡散してくれるので、ウェブサービスとしては楽なんですよ。でもそれは、僕らが本当にやりたいことではない。最終的には議員もユーザーもプラットフォームを通して国を作れる場所にPoliPoliがなればいいなと思っています。

 

(後編は8月7日(金)更新予定です)

 

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プロフィール

伊藤和真

起業家。1998年生まれ。慶應義塾大学商学部在学中。18歳で俳句アプリ『俳句てふてふ』を開発したのち、毎日新聞社に売却。2018年2月に株式会社Poli Poliを起業。同社が開発した「Poli Poli」は、ユーザーが直接政治家に政策提言や、政策評価を行えるプラットフォームとして注目されている。

 
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コロナ禍で再注目される ウェブによる政治参加 【前編】