プラスインタビュー

コロナ禍で再注目される ウェブによる政治参加 【後編】

株式会社PoliPoli 伊藤和真さんインタビュー
伊藤和真

 

PoliPoliをはじめとしたITの力で政治参加を促す試みは世界的に盛んになっていて、「Poli Tech」や「Civi Tech」と呼ばれています。国外のそうしたサービスで参考にしているものはありますか。

 

やはり、アメリカやヨーロッパは政治系プラットフォーム・サービスが盛んなので動向をチェックしています。とくにアメリカはプラットフォーム作りに行政やNPOがしっかり参加していて、アンドリーセン・ホロウィッツのようなベンチャー・キャピタルが積極的に投資を行っているんです。

今、盛り上がっているサービスは、誰でも簡単に献金やキャンペーンができる、いわゆる仲間集めのためのツールやソフトウェアです。代表的なのは、ネイションビルダーというプラットフォームですかね。そのなかでも政治家と有権者を繋いで意見を交換することができるCOUNTABLEというアプリはPoliPoliに近く参考にしています。

また、署名を投稿して集めるプラットフォームのChange.orgも好きなプラットフォームの一つです。署名を可視化することは、直接政策を届けるというより世論形成の側面は強いですが、社会への働きかけ方にはシンパシーを感じます。

 

台湾の政治行政提言サービス「v Taiwan」など国が主導してやっているサービスもあります。

 

極論ですけど、PoliPoliのようなサービスも国がやればいいと思っています。ただ、実現させるのは難しいように感じます。どうしても国家がやると動きが遅くなりますし、たとえ作ったとしてもプラットフォーム自体にメリットや魅力が感じられないと使われないからです。PoliPoliを使っている議員の方々も政策を投稿する意義や有用性を感じているからこそ、政策を投稿しているんです。だから国が政策だけを作るプラットフォームをいきなり作ったとしても、あまり有効活用できないように思えます。そのためPoliPoliでは政策を実現することができたり、プラットフォームを使って支持を集めることができるという実績をいくつも作ることで、政策提言サービスの重要性を周知させていくようにしています。

 

このコロナ禍において、ITと政治の関係を深めていくことがより重要になっていると思います。例えば接触確認のアプリケーションや、東京都の新型コロナウィルス関連のサイトがオープンソースで作られています。そうしたITと政治をより近づけていくためには、どうしたらいいのでしょうか。

 

単純な話で、ちゃんと声を上げることが重要だと思います。政治が動くのは政治家が「この声を聞けば票になる」と感じたときです。だから、政治家が社会全体でインターネットを使っている人たちが多いということを実感すればするほど、ITと政治を近づけるような政策が増えていく可能性が高くなります。だから、政治に対して「IT化を進めてインターネットを活用しようよ」とアクションすることが大切です。

本当だったら世の中の人口のなかで、ネットを使ってカジュアルに意見発信をする世代が大半を占めれば、政治もそれに対応せざるを得なくなる。だから、時が経てば自然と政治のIT化が進んでいくはずなのですが、日本の場合、人口比率で若い世代が少ないですよね。例えば国会議員の講演会に行くと、年が上の人ばかりで、いたとしても30代が何人かいるくらいです。ほとんどの政治家はそのような光景ばかりを見ているから、そこにいる人たちのことを「世論」だと思い込んでしまう。だから政治家の目に、若い人たちが入るようにしなければならないと思います。例えば若い世代の人たちがPoli Poliを使って国会議員に会いにいくだけでも、今ある政策が変わっていきます。だからこそ、若者が声を大きくしていき政治家に届けることが大切です。

 

PoliPoliを起業されて2年が経ちます。まだプラットフォーム作りの過程だと思いますが、今後どのように発展していくのか、ビジョンがあれば教えてください。

 

PoliPoliが浸透するためには、3つのフェーズを踏む必要があると思っています。まずフェーズ1が今の段階なんですけど、少数の人にちゃんといいサービスを届ける。これはアクティブなユーザーが増えてきたことによってようやく達成されつつあります。

次のフェーズは、特定の政策に関して興味がある人たちが積極的に使うサイトにすること。例えば、シングルマザーを支援する政策を作ってほしいと思っている人や、派遣労働の状況を改善してほしいと思っている人が、PoliPoliを当たり前に使うようになったときがフェーズ2です。今まで声が届きにくかったイシューを実現できる場所として、数十万人から百万人単位の人に使ってもらえるようになったら、それが達成されると思います。

そしてフェーズ3が、政治や選挙に関わる人が誰もが使うような状況。つまり、有権者全員に使ってもらえるようになるのが最終目標です。この段階になると、PoliPoliで各候補者や政党の政策を見比べられるようなサービスを実装したいと考えています。ただ、そうなるためにはまず、今のフェーズでしっかり足場固めを行う必要性を感じます。だから10年プランでPoliPoliを進めていきたいですし、いつかすべての人が幸せになれるような意思決定ができる世の中にしたいです。

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プロフィール

伊藤和真

起業家。1998年生まれ。慶應義塾大学商学部在学中。18歳で俳句アプリ『俳句てふてふ』を開発したのち、毎日新聞社に売却。2018年2月に株式会社Poli Poliを起業。同社が開発した「Poli Poli」は、ユーザーが直接政治家に政策提言や、政策評価を行えるプラットフォームとして注目されている。

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コロナ禍で再注目される ウェブによる政治参加 【後編】