大江千里のジャズ案内 「ジャズって素敵!」 Vol.3

NYのジャズシーンってどんな感じ?

大江千里

NYにあるジャズべニュー

少し俯瞰でニューヨークのジャズシーンを見回してみましょう。

NYには昔も今もジャズが溢れています。まずジャズベニュー(ライブ会場)といえば有名な店にブルーノートがあります。ここでは若手最強のピアニスト、ロバート・グラスパーが数日演奏するかと思えば、ベテランサックス奏者のケニー・Gがその後にブッキングされていたりします。納得のカレンダーですが、週末のブランチショーにはゴスペルクワイアや新進気鋭のアーティストがブッキングされてたりもします。

トランペット奏者のウィントン・マルサリスがプロデュースしているリンカーンセンターにあるディジーズクラブも名門ジャズクラブとして人気ですが、教育の側面が強いベニューです。リンカーンセンターに併設されているジュリアード音楽院やマンハッタンスクールオブミュージック、ニュースクールなどの生徒によるビッグバンドやグラント(支援金)を獲得した世界中のアーティストにも積極的に門戸を開いてます。コロナ以降、レジェンドジャズアーティストへのオマージュ企画も増えつつあります。

老舗のバードランドはその昔、アメリカの伝説的スターであるライザ・ミネリも出演したエンタメの殿堂です。ジョージ・シアリングの名曲「バードランドの子守唄」はこの店のことを歌った曲でサラ・ヴォーンの1954年バージョンは大きなヒットになりました。このクラブならではのビッグバンドは今も変わらず人気が高く、スイングからボサノバ、ラテンなど幅広いラインアップは、観光客やローカルのジャズ好きに大人気です。

ビル・エヴァンスの名物ライブ盤(『ワルツ・フォー・デビイ』)などで知られるヴィレッジヴァンガードは、敷居が高い印象があり商業的じゃないラインナップです。いいベニューにはいいサーバー(給仕)がいて、この120名くらいのキャパの場所を数人でチャキチャキ仕切るのです。この店で録音された名盤は多く”ジャズの神様が宿る場所”とも言えます。

他にもヴィレッジヴァンガードで収録された名盤はたくさんあります。

1)ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(ブルーノート、1957年11月3日録音)

2)クリス・コナー『クリス・イン・パーソン』(アトランティック、1959年9月13日録音)

3)ジェリー・マリガン『ジェリー・マリガン・アンド・ザ・コンサート・ジャズ・バンド・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(ヴァーヴ、1960年12月11日録音)

4)チャーリー・パーカー『チャーリー・バード・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(リヴァーサイド、1961年1月15日録音)

5)ビル・エヴァンス『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(リヴァーサイド、1961年6月25日録音) ※『ワルツ・フォー・デビイ』も同日録音

6)ボビー・ティモンズ『ボビー・ティモンズ・トリオ・イン・パーソン』(リヴァーサイド、1961年10月1日録音)

7)ジェリー・マリガン『ザ・ジェリー・マリガン・カルテット』(ヴァーヴ、1962年2月25日録音)

未だに日本人で単独で演奏できたのはピアニストの大西順子さんだけだと言われています。

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プロフィール

大江千里

(おおえ せんり)

1960年生まれ。ミュージシャン。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー。「十人十色」「格好悪いふられ方」「Rain」などヒット曲が数々。2008年ジャズピアニストを目指し渡米、2012年にアルバム『Boys Mature Slow』でジャズピアニストとしてデビュー。現在、NYブルックリン在住。2016年からブルックリンでの生活を note 「ブルックリンでジャズを耕す」にて発信している。著書に『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』『ブルックリンでソロめし! 美味しい! カンタン! 驚きの大江屋レシピから46皿のラブ&ピース』(ともにKADOKAWA)ほか多数。

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