著者インタビュー

学校では教わらなかった国語

野矢茂樹・立正大学教授

野矢茂樹
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大人になると不思議なことが起きる。もう一度勉強がしたくなるのだ。けれども大人はけっこう忙しくて、もう一度学校に通うのもおっくうだ。

そこで、いつから始めてもいいし、休んでもいい、来る者拒まず、質問大歓迎の気さくな先生が迎えてくれる——そんな講座があったら出てみたいという虫のいいことを考えている人には、この本がうってつけだ。

『大人のための国語ゼミ』 野矢茂樹著、山川出版社 (撮影:伊豆倉守一)

テーマは国語。数学や歴史ならともかく、今さら国語なんて、と思う方もいるだろうが、「野矢ゼミ」の国語は多くの大人が学校で教わってきた国語とはひとあじ違う。

「従来の小・中・高の国語教育は文学作品の鑑賞や文学史、古文・漢文の解釈など、情操教育や教養教育に重点が置かれていました。

もちろん、それはそれで大切なことですが、日常生活や仕事で使う日本語のスキルを磨くことも大切です。本書は、文学と国語を切り離して、実用的な言葉の力を向上させることをめざしています」

こう語る著者・野矢茂樹先生はウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の新訳(岩波文庫)『論理トレーニング』(産業図書)などの著作で知られる哲学者である。それにしても、なぜ哲学者が国語の本を書いたのか?

「ある教科書会社の依頼で中学国語の教科書の編集に携わることになりました。最近の教科書は日本語の実用論理的な力を育てる方向に力を入れ始めていて、その方向を後押しできればとお引き受けしたのですが、中学生が相手ですから、一番ベーシックなところから教材作りをしなければならず、なかなかたいへんでした」

ここまで基本的なことから始めなければいけないのかと思いながら作業を進めていくなかで「これは大人にも必要だ」と感じたのです」

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プロフィール

野矢茂樹

哲学者。専門は現代哲学・分析哲学。1954年、東京生まれ。85年、東京大学大学院理学系研究科科学基礎論専門課程博士課程単位取得退学。北海道大学文学部助教授を経て、2008年より東京大学大学院総合文化研究科教授。著書は2017年に第29回和辻哲郎文化賞を受賞した『心という難問──空間・身体・意味』(講談社)をはじめ、『論理トレーニング』(産業図書)、『論理トレーニング101題』(産業図書)、『ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を読む』(哲学書房、後にちくま学芸文庫)など多数。

 
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