著者インタビュー

学校では教わらなかった国語

野矢茂樹・立正大学教授

野矢茂樹
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哲学者・野矢茂樹氏 (撮影:内藤サトル)

それでは、日本の大人の国語力は学び直さなければならないほど落ちているのだろうか?

「日本人の国語力が昔と比べて落ちているかどうかははっきりしないけれども、外に向けて発信する国語力が求められるように社会や時代が変わってきたということは言えると思います」

「国語力」の定義も、時代の変化に合わせてアップデートが求められているようなのだ。

「日本の言語文化は仲間内でのツーカーの関係、あ・うんの呼吸で分かりあうようなコミュニケーションをよしとしてきた傾向があります。これは仲間内だけで閉じられたコミュニケーションです。

でも、それでは仲間内の言葉が通じない相手、例えば親しくない外国人などが典型ですが、他にも世代や職業や生活や価値観の違う相手とは話しにくい。仲間内という囲いの外へ向けて発信するためには、もっと力のある言葉でなければ通じない。

暗黙のうちに前提していることが相手に伝わらないなと思ったら、ちゃんとそれを表立って言ってあげなければいけないし、相手の知識のあり方や価値観にも配慮して発信しなければならない。

この言葉の力が弱いと人間関係が仲間内で閉じてしまって、言葉の通じない相手は切り捨てる排除の方向に向かう。排除しないでつながっていこうとするときに、一番大事なツールはやっぱり言葉です。だから、仲間内で閉じない、外に向かって開かれる力のある言葉を身につけていかなければいけない。それを一言で言うと論理的な言葉なんです」

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プロフィール

野矢茂樹

哲学者。専門は現代哲学・分析哲学。1954年、東京生まれ。85年、東京大学大学院理学系研究科科学基礎論専門課程博士課程単位取得退学。北海道大学文学部助教授を経て、2008年より東京大学大学院総合文化研究科教授。著書は2017年に第29回和辻哲郎文化賞を受賞した『心という難問──空間・身体・意味』(講談社)をはじめ、『論理トレーニング』(産業図書)、『論理トレーニング101題』(産業図書)、『ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を読む』(哲学書房、後にちくま学芸文庫)など多数。

 
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