著者インタビュー

まもなく到来するロボット時代のために

『ロボット法 AIと人の共生にむけて』著者インタビュー
平野晋

本書の最終章は「ロボットが感情をもつとき」と題されている。感覚や知能、運動能力の面でロボットが人間同様の能力を獲得するのは時間の問題であり、部分的にはすでに実現している。さらに鉄腕アトムのように、感情に代表される心や自立した自我をロボットが獲得したらどうなるか。

2045年には人間を超える存在が生み出されるという予測もあり、その時に人類は自らを超える存在を統御できるのかという問題が生じるとされる。しかし、平野氏は冷静だ。

「2000年問題というのがありました。2000年になったらコンピューターがいっせいに誤作動を起こすのではないかと一種の社会不安が広がりました。ところが、いざ2000年を迎えても何も起こらなかった。新しい技術には問題もあるかもしれませんが、だからこそ法的なガイドラインを設けて、技術の成果を安心して社会が分かち合えるようにすべきなのです」

平野氏は大学卒業後、メーカーの法務担当として働き、その後渡米してニューヨーク州で弁護士資格を取得したという経歴の法学者。

「最初に就職したのがメーカーでしたから、ものづくりにはシンパシーがあります。技術者が安心してロボット開発に取り組むためにも、ロボット法の研究が必要なのです」

弁護士・法学者 平野晋氏 (撮影:内藤サトル)

 

文責:広坂朋信

※季刊誌「kotoba」31号著者インタビューを一部修正の上、転載しています

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プロフィール

平野晋

1961年東京生まれ。中央大学総合政策学部教授、米国(NY州)弁護士。中央大学法学部法律学科卒業後、コーネル大学大学院(ロースクール)修了、博士(総合政策、中央大学)。企業派遣で留学したコーネル・ロースクール修了と同時に、ニューヨーク州の法曹資格試験に合格。同校在学中には法律論文誌の編集員に選抜される。その後、(株)NTTドコモ法務室長などを経て現職。

 

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