優しいジャイアンに、抱き着いてチューしちゃう
──一度、上半身裸の一之輔さんに殴られたことがあると言っていましたもんね。
一之輔 え? 上半身裸?
宮治 何年か前の「博多・天神落語まつり」の二次会のときです。兄さんがプロレスラーみたいなノリで、殴りかかってきた。その写真、今でもありますから。
一之輔 パワハラじゃん。
宮治 そうです。でも僕は訴えませんから。兄さんといると、楽しいんで。
一之輔 その言い方が怖いな。
──宮治さん情報によると、焼酎の中に後輩の携帯電話を突っ込んだこともあるとか。
一之輔 ああ、三朝のね。あれは悪かった。反省した。
宮治 翌日、兄さんから本人には大量のお金が渡ったそうです。でもね、この人と一緒にいたいと思わせるというのはほんとなんですよ。
──年に2回くらい「蒲田会」という飲み会を開いているんですよね。
宮治 蝶花楼(桃花)姉さんと、一花もそのメンバーなんですけど、みんなで兄さんに愚痴を聞いてもらうみたいな会で。兄さんは性格悪いから、僕はいつも泣かされるんです。
一之輔 宮治は基本、いつもいっぱいいっぱいなんで。この目を見て。ストレスたまった目をしてるでしょう? なので「大変だろ? そんなにいつもがんばりなさんな」って言ってね。
宮治 涙もろいんで、僕もすぐ泣いちゃう。
一之輔「おれはおまえのこと、わかっているよ」みたいな。
宮治 そういうときは映画版『ドラえもん』のときの優しいジャイアンになるんですよ。僕も抱き着いて、チューしちゃう。
一之輔 いいやつだから、おれ。
宮治 泣かして喜んでるだけのような気もするんですけど。
<第3回へ続く>
プロフィール
1978年、千葉県生まれ。落語家。日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。2012年、21人抜きの抜擢で真打昇進。2010年、NHK新人演芸大賞、文化庁芸術祭新人賞を受賞。2012年、2013年に二年連続して国立演芸場花形演芸大賞の大賞を受賞。寄席を中心に、テレビ、ラジオなどでも活躍。
桂宮治(かつら みやじ)1976年10月7日、東京都品川区出身。2008年2月、桂伸治に入門。2012年3月、二ツ目昇進。同年10月、NHK新人演芸大賞受賞。2021年、5人抜きの抜擢で真打昇進。「成金」メンバーでは三代目柳亭小痴楽、六代目神田伯山に続く、単独での真打昇進披露となる。2022年より日本テレビ系『笑点』の新メンバーに就任。