著者インタビュー

『日本人失格』 田村 淳

田村 淳・タレント

田村淳
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タレントとしての好感度より大切なこと

──それにしても、読者は驚くと思いますよ。いきなり「田村淳は芸人じゃない」と宣言していますし。世間的には田村淳を芸人だと認識している人のほうが多いですしね。

どうしてその発言に至ったかについては、本書を読んで理解してもらいたいんですけど、僕はやっぱ、ネタを作り劇場で披露するようなことはしないんで。そういう意味で僕は芸人じゃない。ただ、これまではいちいち「僕は芸人じゃないです」って旗を掲げるのもどうかなって思っていただけ。とりあえずあなたの職業は何ですかと訊かれたときに「タレント」ですと答えるのが無難だったわけですよ。ただ、『日本人失格』を作る際に、まずは自分が何者かをはっきりさせておかないと、いろんな問題に対して、ああだこうだと主張できないと思ったんですよね。

──では、田村淳の立ち位置は「タレントとしてテレビを(生業なりわい)にして楽しいことを探している人」という認識でよいですか。

はい。それ以上でもそれ以下でもないですし。そんなヤツが新書を通して現在のストレス社会にあれこれモノ言ってると思ってもらえると、『日本人失格』の魅力が伝わりやすいかなあ。

──その立ち位置というのは今の芸能界においては稀有けう)な存在に映るんですが。

そう映っているのであれば〝してやったり〞ですね。いや、本来は僕以外の「テレビに出ている人たち」も稀有な存在でなければいけないんですよ。なのに最近はやたらとテレビ局に発言をコントロールされた芸能人ばかりで残念に思っているんです。自己発信ができないような人たちばっかりだし。僕らは自己実現のためにテレビに出ているわけでね。その一番大事なところを忘れちゃっている芸能人が多すぎます。

──それはそうなんですが、(軋轢あつれき)を生まないことが長く芸能生活を続けられる要因だったりするじゃないですか。

そう考えている人ほど、ぜひとも『日本人失格』を読んでいただきたい(笑)。芸能人ではなくても一般の方々も、ああ、自分は周囲を気にするあまり、無駄なストレスを抱え込んでいたんだな、だから、自分は息苦しさを感じていたんだな、とわかってもらえると思うんで。だったら、どうすればいいかも僕なりに提言させてもらっているので。

なにはともあれ、僕は別にテレビ局に飼われている人間じゃないんです。そうではなく、僕は単にテレビを通して自分がやりたいことを多くの人に見て欲しいし、伝えたいと思っているだけでね。例えばトーク番組などで、このVTRについてコメントをくださいと要望されたら、場の空気を読んでそれなりの発言をしますけど、それだけだったらテレビタレントの存在って何? と思っちゃうんです。せっかく知名度を得て、街を歩けば指を差される存在でしょ。それなのに、テレビで当たり障りのない発言をしても意味ないし、僕はこれからも常に発信できるものをやっていたいし、自分が楽しめることをやり続けたい。
タレントとしての好感度はどうでもよくて「アイツ、自己発信はちゃんとしているよね」と言われる人でありたい。

「ま、その分、批判も食らうんだろうな」

──でも、最近の田村さんの立ち居振る舞いがけっこう丸くなっているというか、若手時代のハチャメチャな行動や言動がなりをひそめ、番組の場の空気を調和させることを第一とした大人の司会者に変貌した感じもします。そんな田村淳も魅力はありますが、できれば、あの頃のタチの悪い狂気の田村淳で、もっともっと芸能界において稀有な存在になって欲しいんですけど。

「ああ、はい。なぜにどうしてそういう田村淳に変質したのかも『日本人失格』で十分に説明しているので(笑)、読み込んでいただければな、と。僕の目線を通して地上波のテレビ局の闇と、そこから垣間見える希望の光も書き込んでいますから。なにより僕は丸くはなっていません。BS、CS放送では〝成熟した狂気〞をお見せしていますし。

そういえば、僕は今、関西のローカル局でダウンタウンの浜田さんと『ごぶごぶ』という番組をやらせてもらっているんですが、その収録中に浜田さんがボソッと言ってくれたんです。「お前、BSですっげえ好き勝手なことやってんな」って(笑)。それってBSスカパーの『田村淳の地上波ではダメ!絶対!』のことなんですけど、浜田さんの「好き勝手にやってんな」という言葉は、僕からすると最高の褒め言葉なんですよ。だから、僕は今でもどこかハチャメチャだし、それを活かせて楽しめる場所が今やBS、CS放送になっているんですね。そういう遊べる場所をなんとか見つけることができたというか。そこらへんの経過も『日本人失格』でこれでもか! と包み隠さず書き込んでいるので、読んでもらえればありがたいです(笑)。

──では、最後に『日本人失格』において「これは言ってやったぜ」と自信をもって言える部分はどこになります?

そうですねえ、「年寄りより若い連中に金を渡せ」って主張かな。みんな「そうだよな」とヒザを打ってくれると思う。なんにせよ、本書はこれまでのタレント本と一線を画したものだと胸を張って言えます。タレント本ってバラエティ性を重視した作りだったりするじゃないですか。こんな日常を送っていますみたいな。ブログに毛が生えたものというか。

いや、それはそれで楽しいんですけど、『日本人失格』はガチに田村淳の根幹が主張を持って蠢うごめいてますから、それこそありのままに(笑)。そこが圧倒的に他のタレント本との違いでしょうね。でも、ま、その分、批判も食らうんだろうな。でも、絶対に賛同してくれる人もいるだろうし。その数が多かったら、すぐに『日本人失格2』に取り掛かりますよ。今も次から次に社会に対し、言いたいことが出てきちゃってるんで(笑)。

たむら・あつし

1973年山口県生まれ。1993年からロンドンブーツ1号2号を相方の田村亮さんと組んで活動中。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)など人気バラエティ番組から『田村淳の訊きたい放題!』(TOKYOMX)のような情報番組まで多彩なジャンルの M Cを務める。著書に『35点男の立ち回り術』等。

2017年 青春と読書 3月号「本を読む」より

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関連書籍

『日本人失格』

プロフィール

田村淳

1973年山口県生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。タレント「ロンドンブーツ1号2号」として、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)『緊急SOS!池の水全部抜く大作戦』(テレビ東京)などバラエティ番組から、『田村淳の訊きたい放題!』(TOKYO MX)のような情報番組まで多彩なジャンルの M Cを務める。著書に『日本人失格』(集英社新書)等。

 

 
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