2019年春、ロシアで。取材こぼれ話1

宇都宮直子
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「私は22歳ですが、年齢は、自分の最も強力な長所になるだろうと思っています。スケーティング自体が成熟しますし、成熟した年齢、女性らしさで勝負をしていきたいと思います。
 あと、今のルールではショートプログラムでは4回転ジャンプは跳んではいけないことになっていますので、ショートでのトリプルアクセルは大きな武器になるでしょう。
 トリプルアクセルの存在は、自信に繋がっています。最初は難しいジャンプでしたが、今は違います。私にインスピレーションを与えてくれます。
 トリプルアクセルがなかったら、ものすごく大変だったと思います。このジャンプのおかげで、自分にエネルギーや力があると思えるんです」
 トゥクタミシェワは、2022年の冬季オリンピックを視野に入れている。
「もちろんです。とても行きたいと思っています。ライバルを意識するかですか? それはそうでもなくて。ネットで知る範囲の情報で十分、いちばん重要なのは自分自身ですから。
 自分がちゃんとできているかどうか。どこに向かって歩いているのか。何のために歩いているのかをきちんと認識していることが、何より大事だと思っています。
 歴史の中で、人々の記憶にずっと残るような何かを成し遂げたい。それが、私のモチベーションです。
 選手としてのキャリアを終えたあとでも思い出してもらえるような。人々が自分について話してくれるような。フィギュアスケートの歴史に明るい大きな『点』を残せるようなスケーターになりたい。
 その気持ちが、一貫した自分のモチベーションでした。これまでも、これからもそうです」
 トゥクタミシェワは、よどみなく話し続ける。両腕が思いを表現するように、開いたり伸びたりした。常に微笑んでいた。

(以下、次号)

 

 

 

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プロフィール

宇都宮直子

ノンフィクション作家、エッセイスト。医療、人物、教育、スポーツ、ペットと人間の関わりなど、幅広いジャンルで活動。フィギュアスケートの取材・執筆は20年以上におよび、スポーツ誌、文芸誌などでルポルタージュ、エッセイを発表している。著書に『人間らしい死を迎えるために』『ペットと日本人』『別れの何が悲しいのですかと、三國連太郎は言った』『羽生結弦が生まれるまで 日本男子フィギュアスケート挑戦の歴史』『スケートは人生だ!』ほか多数。2020年1月に『羽生結弦を生んだ男 都築章一郎の道程』を、また4月には『三國連太郎、彷徨う魂へ』が刊行されている。

 

 
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