安倍政治 ファクトチェックPlus 選挙直前連載! 第五回

Check 5 岩屋毅防衛大臣

(2019年4月5日の閣議後防衛省での会見)

南 彰 × 望月衣塑子
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昨年2018年12月に刊行された『安倍政治 100のファクトチェック』は、朝日新聞でいち早く「ファクトチェック」に取り組んできた南彰と、官房長官会見等で政権を厳しく追及する東京新聞の望月衣塑子がタッグを組み、日本の政治を対象に、何がフェイクなのかを明らかにした本格的ファクトチェック本。

刊行前後から今にいたるまでも政権与党の周囲では検証されるべき発言が相次いでいるため、ここに連載として最新のファクトチェックをお届けします。本書と合わせて日本政治の今を考える一助としていただければ幸いです。


【ファクトチェック】
首相、閣僚、与野党議員、官僚らが国会などで行った発言について、各種資料から事実関係を確認し、正しいかどうかを評価するもの。トランプ政権下の米国メディアで盛んになった、ジャーナリズムの新しい手法。

 

Check 5 岩屋毅防衛大臣(2019年4月5日の閣議後防衛省での会見)

記者 (宮古島陸上自衛隊駐屯地に設置された弾薬庫について質問)保管庫の話に戻りますけども、ネット上や会見でのやり取りが出ています。

 報道も出ているので、これまで防衛局が島民に対して、「保管庫です。弾薬庫ではございません。」と言って、それによって、一部自治体が承認していたとなると、報道で出した写真なのでわかると思いますが、これが保管庫なんですね、コンクリートで覆われたもの、こちらが弾薬庫です。明らかに四角錐型で中に弾薬を詰めてその周りをコンクリートで覆い盛り土をするという弾薬庫独特の設計だと思いますが、こういうものがいずれわかるはずなのに、しっかり開所式になるまで、3月26日になるまで、何度も島民を説いている段階で、弾薬庫ではなく保管庫ですと言い続けてきた。

 これは説明不足ではなくて、意図的に嘘をつこうとしていたとしか見えないと、地元の方々が言っているわけです。これはやっぱり嘘をつこうとしたのではないかと私は思うのですが。

岩屋毅防衛大臣 説明不足だと思います。中距離多目的誘導弾も迫撃砲も普通科の標準装備でございますので、必ず置いておかなければならない装備品です。通常のいわゆる弾薬の保管のためには、保良地区を使わせていただこうと思っておりますが、緊急時には、当然、弾薬を持ってこなければいけない訳で、当然その弾薬を保管するための施設は必要でございますので、そういうことを、しっかり説明をしておくべきだったと思います

 

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防衛省は宮古島の住民説明会で「弾薬庫ではなく、保管庫です」と言い続けていた。

 説明不足とは言えず、防衛省はこれまで宮古島の住民説明会で、住民からの「弾薬庫ではないのか?」の質問に対し、繰り返し「弾薬庫ではなく、保管庫です」と虚偽の説明を言い続けていた。

 2019年3月26日、沖縄県宮古島市に陸上自衛隊駐屯地が開設され、宮古警備隊380人が配置され、同時に、駐屯地内には、弾薬庫が設けられ、宮古警備隊が使う、中距離多目的誘導弾と迫撃砲が配備されることが東京新聞の報道で判明した。防衛省はこれまで「弾薬庫ではなく、小銃などの保管庫」と地元に説明していたが、東京新聞の取材に「説明が不十分だった」と認めた。

 防衛省によると、弾薬庫の面積は約2500平方メートル。配備される中距離多目的誘導弾は、同省技術研究本部(現防衛装備庁)と川崎重工業が開発した対舟艇・対戦車ミサイルで、全長1・4メートル、胴体直径0・14メートル、重さ26キロ。高機動車の荷台に6発の誘導弾を収めた発射器とレーダーなどの誘導システムを搭載し、同時多目的交戦や夜間の交戦能力を持っている。

 宮古島駐屯地を巡っては、2015年5月、左藤章防衛副大臣(当時)が下地敏彦市長を訪れ、陸自の警備部隊とミサイル部隊の配備を打診。候補地のゴルフ場「千代田カントリークラブ」周辺の野原自治会(56世帯)は16年3月、千代田自治会(29世帯)は同年8月に配備反対を決議していた。

 16年9月に若宮健嗣防衛副大臣(当時)が「ヘリパッドや地対艦・地対空誘導弾を保管する火薬庫を整備する計画はない」と伝えると、下地市長は「弾薬庫が一切ないと説明を受けて一安心している」と応じた。沖縄防衛局はその後、地元自治会への3回の説明会で「弾薬庫とヘリパッドは造らない。小銃などの小火器を入れる保管庫を置くだけだ」などと繰り返し、その後、17年11月の駐屯地の工事着工後、18年2月には、千代田自治会が自衛隊員の自治会加入などを求める陳情書を防衛局と市に提出し、容認に転じ、野原自治会も18年3月に反対決議を撤回した。

 中距離多目的誘導弾などの弾薬が配備されるのにもかかわらず、防衛省は住民説明会で「保管庫」と繰り返し、住民に示した「施設整備概要図」には、「保管庫」と記された建物が二つあり、いずれも、隣接する「事務所」とほぼ同じサイズで書かれていた。

 ところが、住民が2018年の秋に独自ルートで入手した工事業者の設計図では、二つの「保管庫」の面積が異なり、一つは4メートル四方だったが、もう一つは54メートル×53メートルと約180倍あった。

「施設整備概要図」の完成イメージ図には、「保管庫」の場所には四角錐状のものが確認され、韓国や沖縄本島の米軍基地で見た弾薬庫とそっくりだったことを市民が発見した。工事が進むと、弾薬庫を覆ったとみられる盛り土が現れ、入り口らしき場所の外には、爆発した際に被害を食い止める土堤も築かれた。

 市民らは那覇市での2018年12月3日に行われた防衛局とのヒアリングでも、その2日後の12月5日に、東京・参院議員会館で行われた防衛省職員からのヒアリングでも「これは保管庫でなく、弾薬庫でないのか」と重ねて追及したが、防衛省側は「自動小銃などの小火器を入れる保管庫で弾薬庫とは違う」と言い張っていた。

 しかし、駐屯地の発足式から3日後の2019年3月29日、防衛省は東京新聞の取材に「小さい方は発煙筒や導火線などを入れる保管庫だが、もう一つは誘導弾などの弾薬を詰め、周りをコンクリートで覆い、盛り土をする弾薬庫だ」と明確に弾薬庫と認めた。(望月)

 


『安倍政治  100のファクトチェック』

 


『権力と新聞の大問題』

 選挙直前連載! 第四回
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安倍政治 ファクトチェックPlus

昨年2018年12月に刊行された『安倍政治 100のファクトチェック』は、朝日新聞でいち早く「ファクトチェック」に取り組んできた南彰と、官房長官会見等で政権を厳しく追及する東京新聞の望月衣塑子がタッグを組み、日本の政治を対象に、何が「嘘」で、何がフェイクなのかを明らかにした本格的ファクトチェック本。 刊行前後から今にいたるまでも政権与党の周囲では検証されるべき発言が相次いでいるため、ここに連載として最新のファクトチェックをお届け。本書と合わせて日本政治の今を考える一助としていただければ幸いです。

プロフィール

南 彰 × 望月衣塑子

 

南 彰(みなみ・あきら)
1979年生まれ。2008年から朝日新聞東京政治部、大阪社会部で政治取材を担当。政治家らの発言のファクトチェックに取り組む。2018年秋より新聞労連に出向し、中央執行委員長をつとめる。 著書に『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)

望月衣塑子(もちづき・いそこ)
1975年生まれ。東京新聞社会部記者。2017年、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞。著書に『新聞記者』(角川新書)等。共著にマーティン・ファクラー氏との『権力と新聞の大問題』(集英社新書)、前川喜平氏、マーティン・ファクラー氏との『同調圧力』(角川新書)等がある。『新聞記者』を原案とした映画「新聞記者」も全国劇場で大ヒット公開中。https://shimbunkisha.jp/

 
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