「それから」の大阪 第7回

夢の跡地「花博記念公園」の今

スズキナオ
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廃墟めいた庭園、閉鎖された「いのちの塔」

広い園内を歩いていると、「山のエリア」と名付けられたゾーンに世界各国の建築様式をモチーフに作られたらしき庭園がいくつもあるのが目に入ってきた。庭園の前には「スペイン」「ベルギー王国」「イラン」などと国名を示したプレートが立っていて、特にそれ以外の説明はないが、それが博覧会当時の遺構であることがわかった。

イランをテーマにした庭園(2021年1月撮影)

エジプト・アラブ共和国をテーマにした庭園(2021年1月撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最低限の手入れはされているのだろうが、なにせ30年以上前に作られたものである。建物などは老朽化が進み、どこか廃墟めいた雰囲気すら感じる。

かつてはショーを見ることができる場所だったらしきスペース(2021年1月撮影)

時の流れを感じる風景に寂しさをおぼえつつ歩いていると、遠くでトランペットを練習しているらしい音色が聞こえてきた。それがよりにもよって『天空の城ラピュタ』のエンディングテーマの『君をのせて』という曲のメロディで、映画の中に登場する捨て去られた天空の文明と目の前の風景がマッチし過ぎて鳥肌が立った。

私が訪れたのが平日の昼間だったこともあってか、園内には人影もまばらで、売店らしき建物もシャッターをおろしていた。また、園の中央に位置する池のほとりに建つ「レストハウスつるみ」には2020年11月末で閉店した旨を告げる貼り紙が。

池を見渡せる位置に建つ「レストハウスつるみ」は閉店していた(2021年1月撮影)

公園のあちこちから見え、シンボル的な存在になっていると思われるタワー「いのちの塔」まで歩いてみるも、こちらも入口が閉ざされている。上階に展望台があるように見えたので「今日はたまたま休館日なのかな」と思ってスマートフォンで検索してみると、私が知らなかっただけで、塔は2010年にすでに閉鎖されているのだった。

博覧会のシンボルタワーとして残された「いのちの塔」も老朽化が進む(2021年1月撮影)

「いのちの塔」のガラーンとした内部をガラス越しにのぞいてみる(2021年1月撮影)

吹田市にある万博記念公園のシンボルとして今なお愛されている「太陽の塔」と対照的な「いのちの塔」の寂しい姿を眺めていると、改めて「国際花と緑の博覧会」の開催当時の様子が気になってくる。後日、フリマアプリやオークションサイトなどを使って博覧会開催当時の資料を何点か買い集めてみることに。

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「それから」の大阪

2014年から大阪に移住したライターが、「コロナ後」の大阪の町を歩き、考える。「密」だからこそ魅力的だった大阪の町は、変わってしまうのか。それとも、変わらないのか──。

プロフィール

スズキナオ

1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』『QJWeb』『よみタイ』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)、『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)、パリッコとの共著に『のみタイム』(スタンド・ブックス)、『酒の穴』(シカク出版)、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ”お酒』(イースト・プレス)がある。

 
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