著者インタビュー

今こそ「人が死なない防災」を

片田敏孝インタビュー

片田敏孝
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自分の命よりも他者の命を考えたときに行動できる

 

 人間には正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりすること)があるので、どうしても自分の命は横へ置いてしまう。むしろ、自分の命よりも他者の命、大切な人の命を考えたときに、初めて行動できるのです。

『人が死なない防災』で詳しく報告していますが、3・11の大津波のときに釜石の子供たちが懸命に逃げたのは、「自分が逃げれば家族も逃げてくれる」と思っていたからです。おじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命に避難訓練を始めたのも、自分の姿が孫たちを安心させると思ったからです。

 大切な人のことを思ったときに、初めて防災はうまくいく。思い合う気持ちの集大成のなかではじめてうまくいくものだ、という実感を持っているわけです。それを踏まえて、現代の日本における防災の問題がどこにあるのか、どうすれば変えていけるのか、社会構造の問題にも視野を広げながら、今まで以上に突き詰めて考え、実践していかなくてはならないと考えています。

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人が死なない防災

プロフィール

片田敏孝
1960年岐阜県生まれ。東京大学大学院情報学環特任教授。群馬大学名誉教授。専門は災害社会工学。災害への危機管理対応、災害情報伝達、防災教育、避難誘導策のあり方等について研究するとともに、地域での防災活動を全国各地で展開している。特に、釜石市においては、2004年から児童・生徒を中心とした津波防災教育に取り組んでおり、地域の災害文化としての災いをやり過ごす知恵や、災害に立ち向かう主体的姿勢の定着を図ってきた。2012年には、防災の功労者として2つの内閣総理大臣表彰を受賞している。著書に「人が死なない防災」 (集英社新書)、「3.11釜石からの教訓 命を守る教育」(PHP研究所)、「子どもたちに『生き抜く力』を~釜石の事例に学ぶ津波防災教育~」(フレーベル館)、「みんなを守るいのちの授業~大つなみと釜石の子どもたち~」(NHK出版)など。
 
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