プラスインタビュー

関東芸人はなぜM-1で勝てないのか?【第1回】

ナイツ 塙宣之インタビュー

ナイツ 塙宣之
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──だんだん、それらしい話になってきました。

 もちろん、例外もいますよ。M-1の歴史の中で、関西弁以外で160キロを投げたのは、アンタッチャブルと、サンドウィッチマンと、パンクブーブーの3組だけでしょうね。いずれも優勝してます。まあ、アンタッチャブルなんかは、バケモンみたいなコンビですから。それと3組に共通しているのは「コント漫才」なんですよ。「じゃあ、おまえコンビニの店員やって。俺が客やるから」みたいな形式の。コント漫才は、関東の芸人が優勝する唯一の方法だと思いますよ。コント漫才は漫才寄りというよりは、芝居寄りですから。しゃべくり漫才と違って言葉のハンディがだいぶ軽減されるので、剛速球を投げられる。というか、剛速球に見えるんですよね。初出場のとき旋風を巻き起こしたオードリーも、言ったらコントじゃないですか。役作りを徹底してますからね。芝居といえば芝居なんです。

──それと、関西と関東では、舞台を踏む数もぜんぜん違うのではないでしょうか。関西の人気漫才コンビになると、1日8公演とか9公演とかあるらしいですよ。

 東京だと多くても3か所くらいでしょうね。ただ、それが必ずしもいい方向に行くとも限らないと思ってるんですよ。というのも、吉本の劇場はツアーで地方から初めて吉本を観に来たというお客さんが多いので、新しいネタを試すというより、いつものネタをやって欲しいという空気になる。そこは大阪の唯一の弱点かもしれない。漫才はドラクエに似ているところがあって、やればやるほど経験値は上がっていく。たとえば、オール阪神・巨人師匠は、もうレベル99ですよ。僕らもレベル50ぐらいはいってるかもしれない。ただ、経験値が低くても戦う方法はある。強い武器を持つことです。ハライチとかもそうでしたよね。漫才自体はうまくないけど、「何だ、こいつら……」というインパクトがあった。あいつらの漫才には定石がないですから。その点、大阪の芸人は、強い武器を持つというより、同じネタを繰り返すことで経験値だけがどんどん上がっていく。だから、うまいなとは思うけど、すげえことやってんなとか思うことは少ないんです。発想でぶっ飛んだネタとかやるやつは、大阪にはあんまりいないんですよ。

取材・構成 中村計

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プロフィール

ナイツ 塙宣之

芸人。1978年、千葉県生まれ。漫才協会副会長。2001年、お笑いコンビ「ナイツ」を土屋伸之と結成。2008年度以降、3年連続でM-1グランプリ決勝に進出する。漫才新人大賞大賞、お笑いホープ大賞大賞、NHK新人演芸大賞大賞、第9回ビートたけしのエンターテイメント賞 日本芸能大賞、浅草芸能大賞新人賞、第10回ビートたけしのエンターテイメント賞 日本芸能大賞、第68回文化庁芸術祭大衆芸能部門優秀賞、浅草芸能大賞奨励賞、第67回芸術選奨大衆芸能部門文部科学大臣新人賞など、受賞多数。10/12~「ナイツ独演会 『ワッショイ』でない事だけは確か」開催、チケット発売中。

 
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