データで読む高校野球 2022 第5回

山田の力投がドラマを生んだ近江、強力打線が火を吹いた大阪桐蔭

ゴジキ

 

絶対王者大阪桐蔭が見せつけた圧倒的な打力

 

第2試合は大阪桐蔭対国学院久我山。この試合は1回表から大阪桐蔭の自慢の打線が先発の渡辺建伸を責め立てた。1番の伊藤櫂人と3番の松尾汐恩はフェンスギリギリまで飛ばし、2番谷口勇人、4番丸山一喜、6番田井志門はクリーンヒット、6番の海老根優大はフェンス直撃のヒットを放ち、1番から6番までの全員が外野まで打球を飛ばす猛攻。まるで相手を威嚇するかの打撃で3点を先取して、試合を優位に進めた。

3回も松尾のセンター前からチャンスを広げて、丸山が8打席連続安打となる追加点となるタイムリー。その後も、田井と鈴木塁(8番打者)、伊藤も打点をあげ、3回終了時点で11安打8得点を奪う。

さらに6回には松尾がチームとして大会7本目となるホームランを放ち、2試合連続の二桁得点を達成。準々決勝の試合で6本塁打が出た後の試合で、チーム全体が大振りになることが危惧されていたが、確実性のある打撃で13点を積み上げた。

 

大阪桐蔭の先発、川原嗣貴は国学院久我山打線を相手に一切隙を見せないピッチングを披露した。4回裏には初安打を許しピンチを迎えるが、大阪桐蔭の固い守備を生かした打たせて取るピッチングで抑えた。6回裏には油断が出たのか今大会初の失策も記録したものの、川原に代わった別所孝亮が2イニングを投げきり試合終了。大阪桐蔭が13対4で勝利した。

 

大阪桐蔭は終始リードをし、6回に失策が絡んで2点返されて以降は、一度も流れを渡さずに勝利した。まさに、優勝候補筆頭のチームに相応しい圧倒的な勝利だった。

 

近畿勢同士の決勝の見どころ

 

京都国際に代わっての出場ながら決勝に進んだ近江は、初戦から準決勝まで山田以外の投手を投げさせないまま勝ち上がった。足の痛み次第ではあろうが、おそらく決勝の先発も山田になるのではないだろうか。また、当たっている津田と中瀬を中心に打線も好調であり、どの打順からでも得点できる。近江が勝つには、満身創痍の山田が大量失点をせずに、どこまで投げられるかが鍵になるだろう。

 

大阪桐蔭はここまで、初戦で鳴門の好投手、冨田遼弥を相手に投手戦を制し、市立和歌山戦と国学院久我山戦では二桁得点を叩き出すという、圧倒的な試合運びで決勝進出を決めた。これまでの甲子園の準決勝・決勝では高い勝率を記録しており、決勝では無敗。選手の状態もよく、西谷監督の采配も冴え渡っていることからも、決勝では絶対王者大阪桐蔭に分があるとみていいだろう。ちなみに今回のセンバツで優勝すれば、大阪桐蔭は秋の明治神宮大会と合わせて20年ぶりの秋春連覇となる。

 

甲子園決勝:8勝0敗

甲子園準決勝:9勝2敗

 

ただ、大阪桐蔭は、昨年夏の甲子園で近江に敗れている。その試合でも近江の山田は先発しており、松尾に本塁打を打たれたものの6回を4失点でまとめ、チームに勝利を呼び込んだ。

また、今大会の準決勝で快投をみせた川原は、夏に2番手として近江打線と対決した経験があるが勢いを止めらなかった苦い過去がある。

大阪桐蔭としては、準々決勝・準決勝と同様に初回から畳み掛ける攻撃ができるかが鍵になる。また、決勝での先発が予想される前田悠伍が準々決勝の市立和歌山戦のように完璧に近いピッチングをできるかにも注目だ。

 

近江スタメン予想と成績

4津田  打率.421  0本塁打  2打点

6横田  打率.143  0本塁打  1打点

5中瀬  打率.462  0本塁打  4打点

1山田   打率.188  0本塁打  1打点

3岡崎  打率.286  0本塁打  2打点

8西川  打率.167  0本塁打  0打点

7川元  打率.353  0本塁打  0打点

2大橋  打率.188  1本塁打  5打点

9清谷  打率.385  0本塁打 4打点

 

山田  防御率1.50  42回  32奪三振

 

大阪桐蔭スタメン予想と成績

5伊藤  打率.286  2本塁打  4打点

9谷口  打率.545  1本塁打   2打点

2松尾  打率.455  1本塁打   2打点

3丸山  打率.714   0本塁打  8打点

8海老根  打率.429  1本塁打  4打点

7田井  打率.250   0本塁打  4打点

4星子 打率.364   1本塁打   5打点

6鈴木 打率.400   0本塁打  2打点

1前田  打率.000  0本塁打   0打点

 

前田  防御率0.00  6回  12奪三振

 

本連載は次回が最終回です。

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データで読む高校野球 2022

100年以上にわたり、日本のスポーツにおいてトップクラスの注目度を誇る高校野球。新しいスター選手の登場、胸を熱くする名勝負、ダークホースの快進撃、そして制度に対する是非まで、あらゆる側面において「世間の関心ごと」を生み出してきた。それゆえに、感情論や印象論で語られがちな高校野球を、野球著述家のゴジキ氏がデータや戦略・戦術論、組織論で読み解いていく連載「データで読み解く高校野球 2022」。3月に6回にわたってお届けしたセンバツ編に続いて、8月は「夏の甲子園」の戦い方について様々な側面から分析していく。

関連書籍

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プロフィール

ゴジキ

野球著述家。 「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」等で、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心に100本以上のコラムを執筆している。週刊プレイボーイやスポーツ報知などメディア取材多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターも担当。著書に『巨人軍解体新書』(光文社新書)、『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』(インプレスICE新書)、『坂本勇人論』(インプレスICE新書)、『アンチデータベースボール データ至上主義を超えた未来の野球論』(カンゼン)。

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山田の力投がドラマを生んだ近江、強力打線が火を吹いた大阪桐蔭