国連の安全保障理事会は、北朝鮮へのさらなる制裁を強めた。ロシアも中国も賛成にまわった。
世界は、アジアは、一気に緊張を高めた。
北は、なお開発を続けなければ、イラクやリビアの様になってしまうと思っている。
唯一の被爆国である日本は、核兵器禁止条約の採択に参加しなかった。日本政府は、我々の選んだ政治家は、どの道を進もうとしているのか。
ある新聞の投書欄には、庶民の声がよせられている。
タクシーの乗務員(67)
「私も若き日にベトナム反戦運動をした平和主義者だが、(中略)危険国家を前にすると、とりあえず(核を)持った方がいいのかな、などと思ってしまう恐ろしい思考停止状態なのです」
高校非常勤講師(62)
「果たして軍事的威圧や経済制裁の強化といった対応は有効なのだろうか」
社会福祉士(65)
「核兵器を使えば、どうなるか、よく考えてほしい。(中略)
核保有国の身勝手な理屈とは決別すべきだ」
投書は、年齢の高い方が多い。
とても真剣である。私が勝手に中略したりしているので、本人の十分な意思が伝わっていないかもしれないが、紙幅の都合もあり、意図が間違っていたら謝る。
投書欄に載っている彼等は果たして、どんな人生を歩まれてきたのか。
彼等の父たちは、私の父と同じように、戦争に行ったのか。そして、私と同じように、断片的な知識を必死にかき集めているのか。
そもそもこの国の政治にたずさわっている人々も、一体、何を知っているのか。
作家で元外務省主任分析官、佐藤優さんは、九月八日の東京新聞の「本音のコラムで」で「これから書くことは日本政府関係者や外国のインテリジェンス専門家から得た情報ではない。純粋に著者が頭の中で考えただけのものだ」とことわって、これからの日本をとりまく情勢を次の様に予測している。
※ トランプ大統領は、北朝鮮に対する武力攻撃に言及しても、百万人以上の死者が想定される第二次朝鮮戦争を引き起こすような事態は避ける。
※ 北朝鮮が北米大陸に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を断念すれば、米国が北朝鮮の核兵器と中距離までの弾道ミサイルの保有について認めるという妥協が成立するかもしれない(もちろんこれは日本全土に届く)。
※ 日本の核武装は非現実的なので、「もたず」を部分的に緩和する「非核一・五原則」という発想が出てくるかもしれない。
本当にどんなことになるのだろうか。疑義を呈したいが、私には専門の知識もない。
政治家の中にも、氏と同じ意見を持つ方もいる。
元内閣官房副長官補の柳澤協二さんは、日本政府は「ミサイルを撃たれても大丈夫だ」という対応を取ろうとしているが、ミサイルの飛来を100%防ぐことは不可能だと新聞のインタビューに答えている。
そして、重視すべきは抑止力の強化ではなく、米朝の緊張緩和に向けて働きかけることで、外交安全保障上の目標もそこに置くべきであると論じている。
どうしたらよいのか。
連載では、シティボーイズのお話しはもちろん、現在も交流のある風間杜夫さんとの若き日々のエピソードなども。
プロフィール
おおたけ・まこと 1949年東京都生まれ。東京大学教育学部附属中学校・高等学校卒業。1979年、友人だった斉木しげる、きたろうとともに『シティボーイズ』結成。不条理コントで東京のお笑いニューウェーブを牽引。現在、ラジオ『大竹まことゴールデンラジオ!』、テレビ『ビートたけしのTVタックル』他に出演。著書に『結論、思い出だけを抱いて死ぬのだ』等。