ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」 第4回

「意見を持つこと」が特殊視される日本だからみんな「政治」から目をそらし続けている

田原総一朗×村本大輔
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村本:僕はああいう風に、みんながそれぞれ意見を持っていて、普通に居酒屋とかでしゃべりたいんですよ。で、50代60代のオッチャンらとは、よくそういう話をするんですけど、若い人が話しているのはあんまり聞いたことがない。

それどころか、この日本では大きな声で「ノー」と言ってデモに参加するために国会前に行く人や、自分の意見を持って動いてる人のことを「プロ活動家」とレッテル貼りして、変な人を見るような目で見るでしょう。だから、辺野古で座り込みをしている、おじいちゃん、おばあちゃんのことを「プロ市民」と呼んで簡単に切り捨てたり、無視したりする。この国全体に漂う、そういう得体の知れない空気の気持ち悪さをずっと感じますね。

田原:僕が一番心配しているのも、なんで日本の国民はこんなにも政治に関心がないんだということですよ。ハッキリ言ってこんな国は日本だけです。

春香クリスティーンってタレントの女の子がいるじゃない。その春香クリスティーンがヨーロッパ留学から帰ってきて、僕に言うんですよ。「スイスでもフランスでもイギリスでも、学生たちが集まるとみんな政治の話をしていた。ところが日本学生は全く政治の話をしない。なぜでしょうか?」とね。

村本:それは、やはり多くの人が、「不満を感じてない」からじゃないですかね。モリカケ問題があろうと、自分の税金がそこでおかしな形で使われていようと興味もないし、「そんなこと知らなくても、俺はおいしい物食べて普通に暮らせる、少し貧乏でも生活できる」という環境が、政治への関心を放ったらかしにしてるというか、森元総理が言っていたように「国民はぐっすり寝ている」状況だと思うんです。

田原:これには、日本の教育にも責任があってね。日本の教育基本法が2006年に改正されて、教師は小学校、中学校、高校、一切政治に関して話してはならないと文部省が決めたんだよ。その結果、小学校、中学校、高校はおろか、大学ですら、教師が政治に関して話すということが一種のタブーになってしまった。

村本:それは、なんでなんですか。

田原:日教組対策だよ。日教組は左翼で政府批判をするんだよね。この日教組に政府批判させないために、教師は政治のことを一切しゃべってはならないことにしてしまったんだ。

村本:ここ数年、海外のお笑いを見に行くと、アメリカでもイギリスでも、芸人がみんな好きなコトを言ってて、自分の意見もバンバン出しているし、しかも面白い。

田原:ちょっと前にも、毎日新聞が「なぜ日本の芸能界は自由がないのか」という特集を組んでいたよね、

村本:日本の芸能界には、自由もイデオロギーも思想も意見もないんですよ。アフリカにニジェールっていう国があって、国を批判したら殺されるぐらい厳しいらしいんですけど、そのニジェールに「ママン」っていうお笑い芸人がいて、彼は自分の国を批判するために架空の国をつくって、その「架空の国」を批判するという形で政治的なネタをやり続けている。要するに、伝え方はいくらでもあるんです。

でも、日本の場合は、タブーに挑む挑まない以前に、そもそも心の中に意見がない。さっき田原さんが「ジャーナリストの基本は政治権力を疑うことだ」とおっしゃっていましたが、僕はそのジャーナリズムに近いのがコメディーだと思うんです。自分はコメディアンだからこそ、難しいことを「笑い」を通して伝えられるはずだと思ってます。だから、頑張って、これからもいい漫才を作ります!

田原:うん、頑張ってください。そして、また『朝生』にも出てくださいよ。

(了)

取材・文/川喜田研  撮影/藤澤由加

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 第3回
ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」

お笑い芸人・ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏が、毎回、有名・無名のゲストを迎えて、政治・経済、思想・哲学、愛、人生の怒り・悲しみ・幸せ・悩み…いろいろなことを「なんでそんなことになってるの?」「変えるためにはどうしたらいいの?」とひたすら考えまくる連載。

プロフィール

田原総一朗×村本大輔

 

田原総一朗

1934年、滋賀県彦根市生まれ 早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所 テレビ東京を経て、77年にフリーに。現在は政治・経済・メディア・コンピューター等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。テレビ朝日系で87年より『朝まで生テレビ』、89年より2010年3月まで『サンデープロジェクト』に出演。テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞した。2010年4月よりBS朝日にて「激論!クロスファイア」開始。02年4月より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講、未来のリーダーを育てるべく、学生たちの指導にあたる。05年4月より17年3月まで早稲田大学特命教授。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ』(講談社)『AIで私の仕事はなくなりますか?』(講談社+α新書)他多数。

村本大輔

1980年、福井県おおい町生まれ。小浜水産高校中退後、NSC入学、2000年デビュー。2008年に中川パラダイスとウーマンラッシュアワーを結成。2013年、THE MANZAI 優勝。昨年末のTHE MANZAI で、原発・沖縄・東京オリンピック・熊本地震などをテーマにしたネタが話題になり、以後、災害被災地や沖縄をはじめ全国で独演会を開催。今年のTHE MANZAIでも政治ネタを取り上げ注目を集めた。

 

 
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