「意見を持つこと」が特殊視される日本だからみんな「政治」から目をそらし続けている

田原：今、世界中でトランプみたいな独裁者がどんどん出てきているでしょう。中国の習近平やロシアのプーチンだけじゃなく、トルコの大統領、ブラジルもそうだね。イタリア、オーストリア、スウェーデンまで、ヨーロッパではポピュリズムが凄い勢いで台頭してきている。これって何でだと思う。

村本：それはやっぱり、国民が不安を感じているからじゃないですかね。例えば、大量に難民や移民が入ってきたりとか、シリアとかロヒンギャとか、分かんないですけど、そういう人たちが大量に押し寄せてきたら、治安が悪くなるとか、仕事を奪われるみたいな国民の不安を一部の政治家が利用して強くなってる。

田原：そう、一番大きいのは移民難民ね。これでヨーロッパはみんな右翼が強くなっている。２つめは経済悪化。そして、３つめは政府の腐敗。たいてい、この３つが重なると、独裁者が生まれやすくなる。

村本：それ、ヒトラーが生まれたのもそんな感じですね。まるで地震が起きるのと同じような感じで、同じことを繰り返す。人間は歴史の中で、ヒトラーみたいなことを定期的に繰り返しちゃうんでしょうか。

田原：うん、今まさにそうなりつつある。

村本：そこで心配なのが、日本人って「自分の意見がない」人が多いことです。僕たちずっと、今の日本のメディアは「報道」でも「お笑い」でも無難に行こうとするからつまらない、タブーに挑む気が無いのが問題だ……という話をしているじゃないですか。でも、僕は「タブーに挑む、挑まない」ということ以前に、そもそも、自分たちの心の中に「意見がない」ことの方が深刻な問題なんじゃないかと思うんです。

僕が『朝生』に出た後、広島に行って尾道の居酒屋さん入ったんですね。そうしたら、50代60代ぐらいのオッチャンたちがお酒飲んでて、ひとりが「あ、芸人の君好きだよー」って話しかけてくれたので、「ありがとうございます」とお礼言ったんです。

そうしたら、別のオッチャンが「わし、よく知らないんじゃけど、お前、どっかで見たことあるのう」って言われて、もうひとりが「この子あれよ、この前『朝生』出て、沖縄は中国のもんだって……」と言った瞬間に、「おまえか、こらー！」「この売国奴がー！」って怒りだしたんです。そうしたら、もうひとりのオッチャンが「いや、彼は好きなこと自由に言ってんだから素晴らしいじゃないか」と言って、オッチャン同士でケンカが始まったんですよ。それ見て、ああ、あれぐらいの年齢の人は面白いなと思ったんです。

田原：うんうん、ケンカは面白いね！