ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」 Round2-2

「教育」だと言って怒る大人が子どもをダメにする

幡野広志×村本大輔
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村本:以前、宮台真司さんが「日本人は感情の劣化がどんどん進んでる」と言ってましたけど…。日本人の多くが「働いて、家帰って、飯食って、寝て」という日常のルーティンの中で、幡野さんみたいに「ちょっと気づくような感覚」を養われていない気がする。でも、そういう人たちばかりになった時、この国の未来はどうなると思いますか? 

幡野:さきほどの「罪悪感」もそうですけど、やはり、自分が今いる現状に対して疑問を抱けないと、何かに気づくのは難しいですよね。何も疑問を抱かなければ、与えられるだけになってしまいますから。

実は僕、子どもがいて、今、2歳半なんですけど、結局、全ては教育なんだと感じています。考える力とか、自分で情報を取りに行くとか、感覚や肌で触れた情報を調べるとか、そういう力を養うのは全て教育でしょうね。

村本:ただ、僕、教育って、ちょっと怖いと思うところがあるんですよ。諸刃の剣っていうか、教育ってやりようによっては、人の考え方を偏らせたり、操ったりもできる。

このあいだ、中国人の女の子としゃべったときに、その子が台湾から来た女の子に、メチャクチャむかついたって言うんですね。彼女は中国の教育で「台湾は中国だよ」って教えられていたから、台湾の子が「違うよ台湾は中国じゃない、台湾は台湾だよ」って言われて頭にきた…というわけです。だから、やろうと思えば嫌韓感情だって教育で植えつけられる。幡野さんは、子どもと接するときに、何に気をつけているんですか?

幡野:他の子育てしている人からすると、甘いって言われるかもしれないんですけど、僕、子どもに全然怒らないです。例えば、コップとかひっくり返したら、「何やってんの!」って怒られたりするけれども、僕は一切怒らない。タオルを持ってきて拭くだけなんです。

幡野さんと息子さん ©Hiroshi Hatano

それをずっとやってると、うちの息子も、よくこぼしますけど、黙って自分で拭くんです、2歳半とかでも。この前も、保育園から連絡があって、友達とケンカして顔にケガしたんです。それでどんな様子だったか保育園の先生に聞いたら、泣きもせず、怒りもせず、ただ伝えに来たと言ったんです。本人からすると、普段から怒られないから、自分も友達に怒らずに、起こった問題に淡々と対応して、問題の解決を図ったんだろうと思うんです。

村本:幡野さんのお父さんもそんな感じだったんですか。

幡野:うちの親はこぼしたら怒ってたな(笑)。でも、人間誰だって、怒られると萎縮するじゃないですか。だから、怒るってあんまり良くないと思っていて。それよりも問題の解決を図った方がいいかなと。落ち込むのはその後でいいわけだから。

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ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」

お笑い芸人・ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏が、毎回、有名・無名のゲストを迎えて、政治・経済、思想・哲学、愛、人生の怒り・悲しみ・幸せ・悩み…いろいろなことを「なんでそんなことになってるの?」「変えるためにはどうしたらいいの?」とひたすら考えまくる連載。

プロフィール

幡野広志×村本大輔

幡野広志

1983年、東京生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家・高崎勉氏に師事、「海上遺跡」で「Nikon Juna21」受賞。2011年、独立し結婚する。2012年、エプソンフォトグランプリ入賞。2016年に長男が誕生。2017年多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。著書『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)。作品集『写真集』(ほぼ日)。

村本大輔

1980年、福井県おおい町生まれ。小浜水産高校中退後、NSC入学、2000年デビュー。2008年に中川パラダイスとウーマンラッシュアワーを結成。2013年、THE MANZAI 優勝。昨年末のTHE MANZAI で、原発・沖縄・東京オリンピック・熊本地震などをテーマにしたネタが話題になり、以後、災害被災地や沖縄をはじめ全国で独演会を開催。今年のTHE MANZAIでも政治ネタを取り上げ注目を集めた。

 

 
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