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米国ニュース解説「トランプ弾劾・解任への道」第3回

矢部武
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 一方、トランプ大統領はコミー氏の批判にすぐさま反応した。
「コミーは弱く、嘘つきで、嫌な奴だ!」とツイートし、「機密情報を漏洩したので、起訴されるべきだ」と主張した。しかし、機密漏洩を裏づける証拠は何も示さなかった。コミー氏は「メモには機密性はない」と反論している。
 それにしても、大統領がコミー氏の発言にいちいちムキになって反応しているのは、それだけ彼の動きを気にしている証拠であろう。トランプ大統領はコミー氏の人格を全面攻撃し、彼を信頼できない人物として描こうとしているようだが、信頼性でコミー氏と張り合おうとしても、トランプ氏に勝ち目はないだろう。何しろトランプ大統領とホワイトハウスは2000回以上も偽りの発言をしていると、メディアに指摘されているのだ。
 4月15日に発表されたABCニュースとワシントン・ポスト紙の共同世論調査でも、コミー氏を信頼できると答えた人の割合は48%で、トランプ氏の33%を大きく上回っている。

 国民の注意を外に向けさせるためのシリア攻撃、北朝鮮への密使

 国内で窮地に立たされるトランプ大統領は国民の注意を外に向けさせようと躍起になっているように思える。
 前述したように、13日夜、トランプ大統領は「シリアの蛮行と残虐行為に対して正義の力を結集した」と述べ、イギリス、フランスとともにシリアの化学兵器関連施設への軍事攻撃を行った。攻撃は1回限りとされたため、今のところ国内で目立った批判は出ていないが、議会では一部の議員からミサイル攻撃をめぐる大統領の権限に懸念を示す声が出ている。
 外交で点数を稼ぎたいトランプ大統領は、米朝首脳会談に向けても「5月下旬か6月初めに実施したい」とやる気満々だ。大統領は次期国務長官に指名したポンペオCIA長官を極秘に北朝鮮へ送って、金正恩朝鮮労働党委員長と会談させていたことを、4月17日にフロリダ州パームビーチで行われた安倍首相との日米首脳会談の席で明らかにした。
 トランプ氏は「われわれは非常に高いレベルで直接対話を始めた。親善の気持ちにもとづく対話で、今後多くの良いことが起きるでしょう」と述べた。一方で、「うまくいかなければ、北朝鮮との会談を開かない可能性もある」と北朝鮮側を牽制することも忘れなかった。

 米国メディアは米朝会談についてのトランプ大統領の発言を大きく伝えたが、日米会談は小さな扱いだった。日米会談の課題は主に2つ、拉致と貿易問題だ。トランプ大統領は鉄鋼・アルミニウム製品の関税対象から日本を除外することは受け入れなかったが、拉致問題については「米朝首脳会談で取り上げる」と明言し、日本側にいちおう花を持たせた。しかし、議題に取り上げるだけでは、具体的な成果が得られるかどうかは疑問だ。
 安倍首相は森友・加計学園問題などで支持率が急落し、党総裁3選続投が危うい状況になっている。この日米首脳会談をなんとか支持率回復のきっかけにしたかったのだろうが、そんな安倍首相に対し、トランプ大統領は拉致問題でサービスしたものの、貿易問題では11月の中間選挙を控え、米国の産業と労働者を守る姿勢をアピールする必要があり、日本の要求を受け入れなかった。
 

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プロフィール

矢部武

1954年、埼玉県生まれ。ジャーナリスト。70年代半ばに渡米し、アームストロング大学で修士号を取得。帰国後、ロサンゼルス・タイムズ東京支局記者を経てフリーに。銃社会、人種差別、麻薬など米深部に潜むテーマを描く一方、教育・社会問題などを比較文化的に分析。

主な著書に『アメリカ病』(新潮新書)『携帯電磁波の人体影響』(集英社新書)『人種差別の帝国』(光文社)『大麻解禁の真実』(宝島社)『日本より幸せなアメリカの下流老人』(朝日新書)などがある。

 
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